「プ~ン」。この効果音だけで、今回の記事で何を取り上げるのか気づいた人もいるだろう。梅雨の時期になると動きが活発になるアイツ。そう。蚊だ。知らぬ間に体に止まり、気付いた時にはもはや手遅れ。肌は赤くなり、すぐかゆみが襲ってくる。「自分は人より刺されやすい」。そう思っている人も多いのでは? 虫ケア用品最大手「アース製薬」坂越工場(兵庫県赤穂市)の担当者に、蚊の対策について聞いた。(三島大一郎)
まずは相手の素性を知ろう。担当者によると、国内で見られる代表的な蚊の種類は、住宅地に多い「アカイエカ」やビル・地下に生息する「チカイエカ」、公園や墓地などによくいる「ヒトスジシマカ」(ヤブ蚊)だという。
蚊は普段、花の蜜などを吸って暮らすが、産卵時期には栄養源として人の血を吸う。つまり吸血するのはメスだけ。人から出る二酸化炭素や皮膚のにおい、体温を感知して吸血源を探す。
「まあ、血を吸われるくらいなら」と、油断してはいけない。怖いのは、蚊に刺されることで感染症にかかるリスク。2014年には蚊が媒介するデング熱が国内で発生し、社会問題にもなった。
■水たまりなくせ/溝の掃除が重要
では刺されないために何をすべきか。「まずは蚊の発生源となる水たまりをなくすことです」と担当者。バケツや植木鉢の受け皿、空き缶、古タイヤなど、少しでも水のたまる場所があれば、蚊の幼虫であるボウフラがふ化してしまう。家周辺の溝の掃除なども大事という。
蚊が室内に入ってこないよう、隙間をなくすことも重要。玄関や窓、網戸などはしっかり閉める。マンションの上階に住んでいるからといって安心してはいけない。人に付いてエレベーターに乗り込み、上がってくることもあるからだ。
屋外では長袖を着るなど、皮膚の露出を少なくすることも大切。虫よけスプレーを使うときは「むらなく塗る」が鉄則だ。塗りむらがあれば、薄い場所が狙われる。
■濃い色の服は避けて/虫よけ商品も進化
蚊に刺されやすい人の特徴は、体温が高い▽汗をよくかく▽呼吸回数が多い-こと。このため、赤ちゃんや妊婦、飲酒した人などは蚊に刺されやすいという。
狙われやすい服の色もある。蚊は色の判別ができず、明暗がはっきりしたものに寄っていく性質があるらしい。このため黒などの濃い色やボーダー柄の服を着ている人も要注意だ。
駆除したり、寄せ付けないようにしたりする商品も年々進化を遂げている。薬剤のジェット噴射で蚊やハエを退治する同社の「アースジェット」には、プレミアム版が登場。薬剤もジェットも強化され、担当者は「より早く駆除したいとのニーズに応えた」とする。
虫よけスプレーは、塗りむらができないミストタイプがお薦めだ。今年2月発売の「サラテクトふわタッチミスト」は、薬剤を均一に塗ることができ、手で延ばす手間もいらないのが特長という。