茨城・取手の双葉地区 技術系ボランティアが復旧支援 専門技術で壁板撤去や床下洗浄

床下洗浄の準備をするボランティア=取手市双葉

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600棟が浸水被害を受けた茨城県取手市双葉地区で、専門技術を生かした「技術系ボランティア団体」が復旧活動で活躍している。高温多湿の季節を迎え、被災住宅のカビや臭いの発生が懸念される中、スタッフたちは、一般のボランティアでは難しい壁板撤去や床下洗浄に取り組んでいる。

支援活動は、住民の希望に応じ、複数のボランティア団体が展開。10日は床上浸水した住宅2棟で家屋清掃や床下洗浄の準備作業を実施した。うち1棟では、団体スタッフがバールや金づちを使い、水に漬かってゆがんだ壁板や床板を剥がした。11日は床下コンクリートの洗浄作業に入る。

汚水が入り込んだ家屋の清掃は、住民の健康にも関わる重要な作業の一つ。2011年の東日本大震災を契機に結成された一般社団法人「四番隊」(千葉県袖ケ浦市)の代表理事、伊藤純さん(49)によると、家屋が浸水すると壁内にある断熱材が水を吸収し、カビや臭いの原因になる。断熱材は乾きにくいため壁板を剥がして取り除く必要があり、床下も洗浄や消毒を怠ると雑菌が繁殖する可能性が高いという。

四番隊に支援を依頼した男性(54)は「汚水混じりの浸水で、臭いやカビの心配があった。自分たちで床板を剥がすのは大変なので、来てもらえて助かった」と話した。

伊藤さんは、こうした支援活動を「大工さんが修理をしやすくするための作業」と説明。壁板や床板の撤去を済ませると、本格的な家屋修繕を行う際の作業時間が短縮できるため、被災者の修繕費が軽減される利点があるという。

これら床下清掃などのボランティア活動は、床板を剥がして2~3カ月間乾かしてから消毒作業に移る必要があるため、当面の間は継続される見通しだ。

支援活動に参画する一般社団法人「オープンジャパン」(宮城県石巻市)副代表の肥田浩さん(57)は、既に支援の長期化を視野に入れ、ボランティアスタッフが引き上げた後でも継続的に復旧活動に取り組めるよう、地元の支援チーム発足の後押しも進めたい考えだ。肥田さんは「住民の方々が一刻も早く元の生活に戻れるよう協力していきたい」と力を込めた。

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