木彫シーソー、惜しむ声により修繕へ 富山県南砺市の国際キャンプ作品

8月に修繕される木彫りのシーソー

 富山県南砺市で1995年に開かれた「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ」で海外作家が制作した木彫りシーソーの再生プロジェクトが、8月に行われる。同市井波の閑乗寺公園に設置されてから30年近く経過し、腐食や風化が激しいため取り壊しが検討されていたが、惜しむ声が相次いで寄せられたことから修繕する運びになった。

 シーソーは、ハンガリーの彫刻家、ヴァス・タマーシュさんが制作。全長約4メートルで、持ち手の部分に馬が彫られている。閑乗寺公園で遊ぶ子どもたちに親しまれてきたほか、県内が舞台となったテレビアニメ作品「ゆるゆり」にも登場することから、作品のファンにも愛された。

 同公園の管理団体「閑乗寺観光開発」によると、今年に入って破損が激しくなり使用を中止。5月にSNS(交流サイト)で撤去する方針を案内したところ、「思い出のシーソーなのでなくさないで」「再生資金を集めてはどうか」といった声や意見が寄せられた。

 今年は4年に1度の「いなみ国際木彫刻キャンプ」の開催年に当たることから、8月のキャンプ期間中に再生を目指すことになった。修繕は、井波彫刻の保護育成を目指す「木あそび工房」(南部白雲代表)と1995年当時に制作に関わったメンバーが中心となって行うことも決まった。

 閑乗寺観光開発の楠則夫代表(73)は「関係者が一丸となって再生に取り組む。8月のキャンプを訪れた人に乗ってもらい、木彫刻の魅力に触れてほしい」と話した。

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