【J1横浜FC】地元農業をサポート 選手ら作業の収穫米を商品化 きっかけは子どもたち

田植えを終え、地元農家と記念撮影に収まる横浜FCの新人3選手ら=横浜市青葉区

 循環型社会の実現に向け、サッカーJ1横浜FCが地に足の付いた取り組みを進めている。地元横浜市の農家や企業と組んで生産から携わった米を商品化。今月、ホームゲームでの販売が決まった。選手自ら担い手としてPRする一方、売り上げの一部は強化費として活用される予定。とかく一過性になりがちなホームタウン活動だが、文字通り泥臭く、地域農業を支え続けていく考えだ。

 5月の昼下がり。同市青葉区の農地にいずれも高卒新人の宇田光史朗、清水悠斗、高塩隼生の姿があった。ぬかるむ水田に足を取られながら苗を植え込み、トラクターの操作も体験。清水は「サッカーだけやって生きてきたので、こういう経験をして外の世界を知ることは大切だな」と泥だらけの両手を誇らしげに語った。

 2年目を迎えた米作りは、Jリーグの各クラブが自治体や住民、企業などと地域課題解決に取り組む「社会連携活動」(シャレン!)の一環。横浜FCも独自の企画を模索する中、きっかけを与えたのは子どもたちだったという。

 「市内の小学校でSDGs(持続可能な開発目標)の授業を行った際、小松菜の生産量が全 国1位だと教えてもらった」とクラブホームタウン担当の金井智恵子さん。大 都市に本拠地を構えるクラブだからこそあえて農業に目を付けた。

 全国有数の人口規模を誇る一方、「横浜で農業が行われていることはあまり知られていない」(金井さん)のが現状。地場産品の知名度を高めることで、地産地消の推進につながる可能性がある。その一助となり得るのがプロスポーツが持つ訴求力だ。

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