元Jリーガー滝沢さん、総菜店勤務 茨城 出身チームに恩返し

焼き鳥を焼く滝沢修平さん=つくば市研究学園

■つくばFC加入 仕事と両立に汗

元Jリーガーの滝沢修平さん(29)が、茨城県つくば市で焼き鳥店に勤めながら、出身のサッカー関東1部リーグのつくばFCに今季加入し、二刀流生活を歩み始めた。「育ったチームに恩返ししたい」と地元に戻り、引退後のセカンドキャリアを見据えて総菜店に就職。仕事とサッカーに汗を流す日々を送っている。

滝沢さんは茨城県取手市出身。幼稚園からサッカーを始め、中学時代につくばFCのジュニアユースに所属した。東洋大からJ3琉球に加入すると、2019年にはJ2水戸に移籍し、2シーズンでリーグ戦20試合に出場して1得点を記録した。唯一の得点は19年の最終戦での決勝点。勝利したものの、チームは総得点数の差で昇格プレーオフ進出を逃し、試合後のインタビューで悔し涙を流した姿はファンの語り草になっている。

昨年はJ3宮崎に所属したが、膝の故障などもあり、シーズン終了後に契約満了。移籍先を探していたところ、動向を気にかけていたつくばFCの副島秀治監督から直接声がかかった。同クラブが所属する関東1部リーグはJ3の二つ下のカテゴリーだが、滝沢さんは「(関東1部などの)地域リーグでプレーするなら、お世話になったチームでやろう」と移籍を決断した。

ただ、つくばFCは全員がアマチュア契約。生活費はサッカー以外の手段で稼ぐ必要があり、滝沢さんは6月から焼き鳥などを販売する総菜店への就職を決意。アマチュア契約は自身初だが、引退後を視野に「サッカー以外の世界に早く触れるのは悪いことではない」と前を向く。

つくばFCによると、同クラブの下部組織出身のJリーガーが選手として戻ってくるのは初めて。関沢英勝経営企画部長は、滝沢さんの復帰に謝意を示しながらも「本当はプロ契約できれば一番だったが、クラブの現状では難しい」と明かした。

今季、滝沢さんは関東1部リーグ戦の6試合全てに出場し、チームの守備を支えている。副島監督も「今年は若いチームだし、Jリーグでプレーした選手もほとんどいない。これまでの経験を他の選手たちに伝えてもらいたい」と期待を寄せる。今月はJFL入りを目指した全国社会人サッカー選手権大会の予選も行われる。

地元クラブで二刀流生活を送っているが、Jリーグ復帰を諦めたわけではない。滝沢さんは「チームの力になるのはもちろん、個人でも、可能性がある限りは上を目指したい」と力強く話した。

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