小田凱人、プロ転向の翌年に世界の頂点! 17歳1ヵ月で車いすテニスのグランドスラム優勝&史上最年少で世界1位の快挙 [全仏オープン]

小田凱人、過去1勝7敗の王者を破りW快挙

6月10日、全仏オープン車いすテニス男子シングルス決勝が行われ、第2シードの小田凱人(東海理化/世界ランク2位)が、第1シードのアルフィー・ヒュウェット(イギリス/同1位)を6-1、6-4のストレートで下し、史上最年少17歳1ヵ月でグランドスラム初優勝を果たした。さらに、大会後に更新されるランキングで、世界ランク1位に。10歳で車いすテニスを始め、わずか7年で世界の頂点に立った。

決勝の相手は、今年最初のグランドスラムとなった全豪オープンに続いて、またしても世界1位のヒュウェット。この時は3-6、1-6で敗れ、その後も対戦があったが白星を挙げることができず、今季4度目の対戦を迎えた。

海外選手のように体が大きいわけではないものの、キレのある鋭いショットが持ち味の小田。タイミングの速いリターン、角度をつけたショットで世界1位を揺さぶり、ペースを握った。第1セット1-1からゲームの最初のポイントを奪って、相手にプレッシャーをかけ続け、一気に5ゲームを連取。あっという間に第1セットを奪う。

その勢いのままに第2セットも先にブレークする展開を作った小田。ヒュウェットの粘りに苦戦し追いつかれたものの、4-4の勝負所でバックハンドのウィナーを放って再びリードを奪う。最後はヒュウェットのリターンが大きくラインを割ると、ラケットを放り両手でガッツポーズを作って喜びを爆発させた。1968年のオープン化以降、グランドスラムの男子種目で史上最年少となる17歳33日での優勝を果たした。

ヒュウェットに勝利したのは、今回で2度目。前回は昨年末に行われた年間成績上位8名で争われる「NEC車いすテニスマスターズ」決勝で、今回はグランドスラムの決勝。小田は、大舞台での強さを見せつけた。

9歳で左股関節の骨肉腫を患った小田は、10歳で車いすテニスに出会った。わずか4年後には18歳以下の「車いすテニス世界ジュニアマスターズ」(フランス・タルブ)で優勝し世界一に輝くと、その後も車いすテニス界の史上最年少記録を次々と更新し、昨年4月にプロ転向を果たしている。

小田は常々、「影響力のある人になりたい」と口にし、「自分と同じように10代で骨肉腫になって、『これからどうしよう』と思っている子もいると思う。“夢を見る”側から“夢を与える”側になるためにも、もっと成長していきたい」と語っていた。

今年1月に現役を退いたレジェンド・国枝慎吾のプレーに魅せられて車いすテニスを始め、「僕も近づけるように」とその背中を追いかけていたが、今回のグランドスラム優勝、世界ランク1位になることで、確実にその姿に近づいた。新たな時代をつくっていくまだ17歳の小田がこれからが楽しみだ。

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