「モスクワの味~」のCMで一世風靡…「パルナス」がカフェで“復活” 兵庫・宍粟で開店、製法を受け継ぎピロシキ提供

パルナスカフェをオープンした野本宜信さん(左)と、グッズを提供する藤中健二さん=咲ランドショッピングセンター

 「モスクワの味」と歌うCMソングで昭和期に人気を集めた大阪の洋菓子メーカー「パルナス製菓」。その製法を受け継ぐピロシキを提供する「パルナスカフェ」が、兵庫県宍粟市内にオープンした。同製菓の流れをくむ店から商品を仕入れ、揚げたてを提供する。外はサクッ、中はモチモチとした食感と、甘い肉汁が口の中に広がる風味を楽しめる。(村上晃宏)

 同製菓は1952年、同県加西市出身の古角(こかど)松夫さん、伍一さん兄弟(いずれも故人)が創業した。ピロシキやケーキなどの商品はもちろん、ロシア民謡調のCMソングで一世を風靡(ふうび)したが、2000年に営業を終えた。現在は伍一さんの長男、武司さん(63)が経営するベーカリー兼喫茶店「モンパルナス」(大阪府豊中市)で、製法を受け継ぐピロシキが提供されている。

 パルナスカフェは咲ランドショッピングセンター(宍粟市山崎町中井)の1階フードコートにあり、障害者の就労を支援する「ひょうご障害者福祉協同組合」(同県姫路市)が運営する。同組合営業部課長の野本宜信さん(63)は武司さんと30年以上の交流があり、「ピロシキの味を継承していきたい」という共通の思いが開店につながった。

 カフェではカレー風味を加えた2種類のピロシキを販売。ウクライナからロシアに伝わった伝統料理「ボルシチ」のほか、わらび餅やかしわ餅などの和菓子も並ぶ。「パルナス復刻委員会」を主宰する藤中健二さん(59)=加西市=が製作したトートバッグやバッジ、ステッカーといったグッズ販売もある。

 スタッフは、同組合が中・西播磨で運営する就労支援施設の利用者ら。現在は冷凍の商品を仕入れて揚げたてを販売するが、将来的にはモンパルナスで利用者らが修業し、生地からピロシキを作る構想を描く。

 野本さんは「ピロシキを作れるようになれば、利用者らのモチベーションにもつながる」と期待を寄せる。藤中さんは「パルナスの味を知らない人にこそ届いてほしい」と願う。

 午前10時~午後6時。ピロシキ260円、ボルシチ648円など。事前予約も受け付ける。野本さんTEL070.3183.4681

© 株式会社神戸新聞社