神奈川県動物愛護協会、クラウドファンディングで施設移転資金募る 飼育放棄された犬や猫など保護60年超

クラウドファンディングを紹介する県動物愛護協会の山田会長=横浜市港北区

 飼育放棄された犬や猫などの保護・譲渡に取り組む公益財団法人「神奈川県動物愛護協会」(横浜市港北区)が、クラウドファンディング(CF)で施設の移転資金を募集している。県立篠原園地(同区)に隣接する県有地で60年以上にわたって活動してきたが、移転を余儀なくされる事態に見舞われたためだ。新施設の建設には多額の費用が必要で、「人間の都合で動物たちの生活の拠点をなくすことはできない」と支援を求めている。

 同協会は1958年4月、初代公選知事の内山岩太郎氏の妻登志子氏=ともに故人=が、かつて近隣に知事公舎(現在は廃止)があった現在地で設立。協会は県から土地を借りて保護施設と動物病院を整備し、活動を続けてきた。

 この20年間で約1800匹の犬や猫などを保護してきたほか、自治体が運営する動物愛護センターでは引き取らないドバトなども保護。年間約3千件の電話相談に応じるほか、併設する動物病院では地域に住み着いた飼い主のいない猫も積極的に診察している。

 移転の背景には、土地を所有する県からの要請がある。県は篠原園地内の樹木を保全するため、隣接する横浜市の白幡池公園と一体的に管理してもらおうと、市と篠原園地の移譲を協議。協会に貸している土地の緑地化も検討され、2021年3月に県から移転も含めた対応を求められた。

© 株式会社神奈川新聞社