サッカー男子決勝に臨んだ神戸弘陵の3年生FW佐波(さわ)には、期するものがあった。「チームを勝たせる。優勝する」
前半35分、北藤からのパスを馬場が落とし、前線で受けた佐波。相手DFが突っ込んできても、焦りはない。得意の股抜きでかわしてGKと対面すると、「また、抜いてやろう」。両足の間を突き、ゴールネットを揺らした。
プリンスリーグ関西2部の試合では精彩を欠き「(シュートを)外しまくって吹っ切れた。総体では前しか見てなかった」という背番号8。悔しさをエネルギーに変え、先制点をもぎ取った。
チームは相手の5倍に上る15本のシュートを放ちながら、1得点のみ。ただ、押し込まれた後半もDF陣がクロスボールを封じるなど耐え、無失点で勝利につなげた。県新人大会に続く栄冠で、「自分たちの代で県内3冠」(岡主将)という目標に王手をかけた。
2020年度の高校選手権以来、3季ぶりの全国切符。今季は、アタッカー陣の個人技やコンビネーションでの得点力に優れ「全国でどれだけやれるかというレベル」と谷監督。インターハイの高みを見据える。(藤村有希子)