少子化予算を増額、その財源は? 社会保険料の上乗せには不安の声も

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月1日(木)放送の「HOT Word」のコーナーでは、岸田首相が3兆円台半ばまでの上乗せを指示した“少子化予算”について、意見を交わしました。

◆日本の少子化政策予算は少なすぎる!?

岸田首相は少子化政策を巡り、後藤経済再生担当大臣ら関係閣僚と協議し、今後3年間の重点施策の予算額について「3兆円台半ばでまとめるように」と指示。3兆円台半ばの予算額に関しては、高等教育のほか、貧困や虐待の防止、障害のある子どもへの支援の充実を調整するよう求めています。

この財源上乗せに対し、兵庫県・明石市長時代に少子化対策に辣腕を振るった前明石市長の泉房穂さんは「(3兆円半ばでも)少なすぎる。10兆円でも他の国並みぐらい。もっともっと上乗せすればいいし、それはできること」とさらなる規模感での増額を熱望。

その使い道について、泉さんは「児童手当も大事ですけど、医療費、保育料、給食費ぐらいは国が全国一律で無償化したらいい。すぐにできる」と言い、「内容が不十分でスピード感がないし、しかも(財源は)国民負担。びっくりします」と所感を述べます。

3人の子どもを持つ気象予報士でフリーキャスターの根本美緒さんは、財源をどこから持ってくるのかが気になると前置き「(児童手当を)増やすのはもちろんありがたいです。この政策を聞いたとき、最初は素直にありがたいなと思いましたけど、財源はどこからくるのか、何に使うのかを含め、漠然とした不安がある」と率直な思いを語ります。

◆少子化対策予算の増額、一方で財源はどうする!?

2023年度の少子化予算は約4.8兆円で来年度からは約3.5兆円程度上乗せしていく予定で、政府は2030年代初頭には今の倍額、約10兆円を想定しています。

財源確保策については、支援金制度として企業を含め社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担するとし、歳出改革や社会保険料への上乗せ、企業の拠出金などを活用するとしています。また、新たな特別会計「こども金庫」を作り、少子化関連の収支を管理するとしましたが、財源の具体的な金額などは年末に持ち越しています。

食文化研究家の長内あや愛さんは、「まだ中身も詳しくわからず、"子育ち環境”なのか"子育て環境”なのか。産んだ後のことなのか、産むまでのことなのか、それもすごく注目したい」と予算の使い道に関心を寄せつつ、「本当に必要な額なのか、(予算は)足りているのかは大きな金額なのでわからない。これから徐々に見ていかないといけない」と話します。

ちなみに、泉さんが市政を担った明石市は、増税や保険料の増額もすることなく、お金の"やりくり”だけで子ども予算を2倍以上にした実績があり、「これは普通の家庭でやっていること。子どもが大きくなって、習い事をし始めたら親の給料が上がらなくても費用を捻出する。そうしてみんな家庭でやっていることを、やればいいだけ。(大事なのは)やりくり、そして優先度、どっちが大事かということ」と熱弁。

現役世代が最も負担している社会保険料の上乗せに関して、キャスターの田中陽南は「同世代(25~26歳)に聞いてみると、貯金できるほど稼げていないので、その上で保険料がさらに取られるとなると、"この先(子どもが)産めるのか”と不安を感じる」と案じます。

また、今回の財源案に「企業の拠出金」も挙げられている点について、泉さんは「やはりお金があるところが負担すればいいと思うので、今は企業が好調で内部留保がたまっているので、それを一旦子どもに使うのはアリだと思う」と私見を述べつつ、社会保険料については「上乗せは絶対にダメ。すぐにまた上がってしまう」と異を唱えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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