暑くなってくるとできる「あせも」どうやって対策すればいい?医療法人メディスタイル副理事長、理恵先生に伺いました!

うちの子、暑くなってくるとあせもができて大変!あせもってどうやって対策すればいいんだろう?そんなお悩みについて、今回は美容皮膚科の医師であり、三人の息子さんの母親でもある医療法人メディスタイル副理事長、徳永理恵先生にお話をお伺いしました。

あせもって、そもそもどんなもの?

ゴールデンウィークが終わって暑くなってくると、汗による皮膚トラブルのご相談が多くなります。
その中でも、お子さんでは「あせも」になった、といらっしゃる方が増えてきます。

本来「あせも」とは、急に汗をたくさんかくことで汗管(汗が分泌部でつくられた後に、皮膚の開口部に至るまでの汗の通り道)の中に汗が溜まってしまうことで起こるものを指します。
実はひとくちに「あせも」といっても、いくつか種類があり、汗がたまる部分の深さで症状が違います。

・浅いもの(角層の下)水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

「白いあせも」と呼ばれる、かゆみのない小さく透明な水疱 数日で治癒します

・ちょっと深め(表皮)紅色汗疹(こうしょくかんしん)

いわゆる「赤いあせも」でかゆみを伴うことがあります

・深め(真皮)深在性汗疹(しんざいせいかんしん)

かなり高温多湿の限られた環境で熱中症を伴うことのある、平らな赤味のない発疹です

あせも以外にも気になる症状ってある?

また、お子さんでは皮膚の単位面積当たりの発汗量が多いため、「あせも」以外にも「汗かぶれ」も起こしやすくなります。
汗をかきやすいわきの下、鼠径部、肘や膝の内側などに赤くかゆみを伴う発疹が出ているときは、「赤いあせも」または汗による「かぶれ」のことが多いです。
「赤いあせも」は表皮内の汗管で汗が貯まり、表皮の中に汗が漏れ出すことで炎症を起こしている状態です。
1~数mm大の赤色の小さいぶつぶつが急な発汗後に起こります。
発熱があったあとなどは急に広範囲であせもが出ることもあります。
また、もともと、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚バリアの弱いお子さんでは汗自体に接触性皮膚炎(かぶれ)を起こしてしまったり「あせも」から掻き壊して湿疹になったり、また、「あせも」が細菌に感染すると膿疱性汗疹になったり、伝染性膿痂疹(とびひ)や汗腺膿瘍(あせものより)になっていくことがあります。

あせも対策、教えてください!

「あせも」や「かぶれ」が出やすいお子さんでは高温多湿の環境を避け、エアコンや扇風機で涼しくしてあげたり、汗によるかぶれを防ぐため、入浴やシャワーをこまめにするなどで皮膚を清潔に保ちましょう。
ただし、清潔にしようとするあまり、毎日泡で何度もごしごし洗うようだとむしろ皮膚のバリアを壊して汗にかぶれやすくなります。
泡を使うのは一日一回までで、汗をたくさんかいたあとはぬるま湯で洗い流すだけにとどめる方がよいでしょう。
そして、入浴後は皮膚のバリアを健康に保つため、夏でも保湿剤の使用をおすすめします。
一枚保湿剤のベールがあることで、汗が直接皮膚に付くことを防ぎ、角層を柔らかく保つことで、汗の出口が開きやすくなります。
入浴がこまめにできないときは濡れたタオルで拭く、あるいは綿素材の下着を着て、こまめに着替えるなどの対処をするとかなり予防できます。

かゆみが強く、傷ができるほどかいてしまうようでしたら、皮膚科の受診がおすすめです。
治療にはステロイドの外用剤が使われることが多いです。
眠れないほどかゆいようだと抗ヒスタミン薬の内服、細菌感染を伴って「とびひ」になったり「あせものより」と呼ばれる膿瘍をつくっている状態だと抗生剤の内服を行うこともあります。
「あせものより」があまりに腫れている場合は切開排膿をすることもあります。
ところで、「あせも」は暑い時期だけの疾患と思われていることが多いですが、最近では乳幼児に冬でもでることがあります。
主には厚着によるもの。寒いとかわいそう、風邪を引いたら大変、と汗をかくほど暖かい部屋でたくさん着せることで出る冬の「あせも」も珍しくはありません。
まとめ
「あせも」はひどくならないうちは、環境を整えたり、市販のあせもの薬を使うことでも治療できます。汗を肌に残さないように清潔にし、入浴後にはしっかり保湿を行って皮膚のバリア機能を高めることを心がけましょう。

[執筆者]

徳永理恵先生
逗子メディスタイルクリニック院長

[プロフィール]
国立東京医科歯科大学医学部を卒業後、同大学形成外科所属。
横須賀市立市民病院では美容レーザー外来の立ち上げを行う。
都内美容皮膚科勤務を経て、
2010年逗子メディスタイルクリニックを歯科医の夫と開院。
自然・健康・美容のまち『逗子葉山』で、生活の一部としての美容医療を啓蒙している。
自分自身の美しさを引き出す『美肌プログラム』を提案。
形成外科、皮膚科、歯科の考え方を統合し、医師・看護師・歯科衛生士・言語聴覚士と表情筋リハビリに力を入れている。
3人男子の育児にも奮闘中。

所属学会
日本形成外科学会
日本美容皮膚科学会
日本サポーティブケア学会
医療アートメイク学会

逗子メディスタイルクリニック ホームページ
https://medi-style.jp/

© 株式会社エネージア