元衆院議員・金子恵美氏、夫・宮崎謙介氏の国政への思い明かす 自身は否定的 政治本出版

元衆院議員・金子恵美氏(45)の著書「もしも日本から政治家がいなくなったら」(内外出版社)が5月31日、発売された。投票率低下や政治不信が続く現状を憂い「もしも日本から政治家がいなくなったら」とシミュレーションし、政治家の必要性や改善点を考えた一冊。好きなテレビのコメンテーターとしてランクインする金子氏がよろず~ニュースの取材に応じ、政治に対する思いやこれからの活動についても語った。

2007年の新潟市議初当選を皮切りに同県議、衆院議員と10年間の議員生活を務めてきた金子氏。夫で元衆院議員の宮崎謙介氏(42)との夫婦生活が注目されがちだが、やはり政治に対する思いは深い。「政治の中に身を置いていた者として、いま政治の中で起きている事実や国民に分かりにくい政治の実態を伝え、誤解されがちな内容を正しく『ファクト』だけを伝えたい」と、わかりやすい解説を心がける。

コメントをひとつ発するためにも、入念な取材を欠かさない。「夫のことに関しては、私も面白おかしく言っちゃってるんですけども(笑)。政治に関しては、現職議員に確認をするっていうことをしている。元同僚議員に電話で確認してから『こう言っていい?』っていう風な。私の政治的感覚ではこうだろうなって思っていることでも、起きている事実が間違っていたら正しく伝えられないなと思う」と、使命感を燃やす。

政治本を上梓したきっかけとして、金子氏は「(政界を)引退して、子育てをしている一国民として日ごろ生活をしている中で、政治に対する不満あるいは政治家への失望が充満していて、政治家経験者の私にとっては非常な残念な声が多く聞こえてきた。これって結果的に政治不信、もっと言うと政治への無関心につながるんだよねっていうことを感じていた。政治家側にも気づいてもらわないといけない」と危機感をつのらせる。

続けて「『もう政治家なんて』という声や『政治家いらない』という声に対して、実際なくしてみたらどうなるかということを逆説的に考えてもらって、こんなに不都合が生じますよってことを気づいてもらう。行き過ぎた官僚主義や選挙で選ばれていない人が国家の重要事項をすべて決めてしまう可能性もある…とか。結果的には政治家っていうのはなくてはならない存在だねっていうのを国民の方に気づいていただけたらな…という思い」と熱く語った。

著書では、常に自転車操業状態だという国会議員の懐事情などを明かし、投票指針となる政治家の「評価シート」の導入や、若い人が政治や選挙に関心を持つ施策なども提案している。金子氏は「政治家になりたいという動機づけは人それぞれだと思いますけど、生活の中で何が問題であるかとか、現代社会における課題みたいなものを発見した上でどう解決するのか、国民の利益を考えて答えを導くのが政治だと思っている。選挙にお金がかかるどうこうよりも、自分自身の理念、信念を通したいっていうことで動いているものと私は思う」と期待を寄せた。

2012年の総選挙で自民党公認で出馬し、衆院議員に。総務大臣政務官を務めるなど、2017年まで2期務めた金子氏。もう一度国政へ…との思いはないのか?

7歳長男の子育てに奮闘中の金子氏は「私は今ないですね。今は子育てをしっかりやりたいというのが一番。政治家は人の幸せを作る人であるべきだと思う。ひとりの子どもをしっかり育てられない人が、人の幸せを創れないと思うので。もし夫がやりたいのであれば、大いに応援したい」と、自身の政界再挑戦には否定的だった。

ただ、夫の宮崎氏は「死ぬまでにもう一回、政治に携わりたい」と言っているという。2016年2月に不祥事が発覚し、宮崎氏は衆院議員を辞職。「彼はあのとき責任を取って辞めましたが、政治家としてやり残したことがあるのでしょう。まだやり切れていない不完全燃焼な感覚は持っているみたいなんです。あの日から未熟な過ちを後悔していない日はないと傍で見ていて感じるんです。『若い人たちに希望を』っていう選挙に出た時の意思を貫こうという気持ちはあるんだと思いますね」とほほ笑んだ。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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