備前に伊勢大神楽 獅子舞を奉納  地域住民 無病息災や家内安全願う

勇壮な舞を繰り広げる2頭の獅子舞=10日、住吉神社

 獅子舞を奉納しながら西日本各地を巡回する「伊勢大神楽(だいかぐら)」(国重要無形民俗文化財)が今年も備前市を訪れている。地域住民は伝統の舞を楽しみつつ、無病息災や家内安全への願いを込めている。

 伊勢大神楽講社(三重県)の森本忠太夫社中が6月から市内の家庭や商店を回っておはらいする。10日は住吉神社(同市穂浪)の宮総代会に招かれ、地域住民約110人を前に境内で演舞や曲芸を繰り広げる大廻(おおまわ)しに臨んだ。

 太夫7人が出演。軽快なかね、太鼓に合わせ、獅子舞は祭事具・御幣(ごへい)と短刀を振り、厳かな舞を見せた。太夫の肩に乗った獅子舞が傘を手に舞う華やかな演目も披露。ばちや短刀を高く投げて受け止める曲芸、漫才のような話芸で盛り上げた。

 大廻しは1時間半近く続き、住民は拍手を送ったり、大笑いしたりしていた。終了後は子どももお年寄りも獅子舞に頭をかんでもらっていた。宮総代長の美木暉(てる)さん(80)は「子どもの頃から親しんできた行事。より多くの人に集まってもらえるよう工夫しながら、地域の伝統として守り続けていきたい」と話した。

 森本忠太夫社中は20日まで市内を巡る予定。その後、瀬戸内市や玉野市、倉敷市下津井地区、香川県などに出向く。

獅子舞に頭をかんでもらう子ども

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