パナ、価格指定の家電5割に拡大 24年度、値崩れ防止

取材に応じるパナソニックの品田正弘社長=12日、東京都港区

 パナソニックの品田正弘社長(57)は12日、共同通信などの取材に応じ、小売価格を指定して販売する白物家電の国内売上高の割合を、現状の約3割から2024年度には5割まで引き上げる方針を明らかにした。品田社長は「製品の価値に見合った価格で流通させたい」と話し、新しい販売方式の浸透に意欲を示した。値崩れを防ぎ、収益力を高めるのが狙いだ。

 新方式は、パナソニックが価格を指定する代わりに在庫リスクを引き受ける仕組み。20年度からドライヤーなど一部製品で導入し、22年度は白物家電の売上高の3割が同方式での販売だった。小売店は売れ残りの心配がなく、消費者はどの店舗でも同じ価格で購入できる利点がある。

 ただ値下げを念頭に商品を買い求める客を取り逃し、シェアを落とす可能性もある。品田社長は新しい販売方式の拡大には「商品力を高めることが重要だ」と力を込める。これまでの商品サイクルは1年で、一部の仕様変更などにとどまり、革新的な商品開発ができずにいた。商品サイクルを2、3年に伸ばし、高付加価値化に注力する。

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