《閲覧注意》バス釣り鬼才天才たちが考えた驚愕のぶっ飛び魔改造&奇作ルアー15連発を喰らえ! どうだ!

バス釣りに使われるルアーは今後どうなっていくのか? その答えは誰にも分からない。しかし、どんなルアーなら釣れるのか、どういった要素を持っていればもっと釣れるのか、その可能性に気づいているアングラーは少なからずいるはずだ。今回は、いわばルアーの「進化の可能性」とも呼べるそれらの要素に誰よりも早く気が付き、自作・改造といった手法を用いて具現化に成功している3名を招集。将来登場するルアーの原型になるかもしれない作品を披露し合っていただいた。

●文:ルアーマガジン編集部

バス釣りマッドサイエンティストの皆さん

― 石井真(いしい・まこと)

ノリーズプロスタッフ。高滝湖や亀山湖を中心に活動するロコアングラー。魚探を駆使した「シューティング」で名を馳せたが、近年はギルパターンを筆頭とするマッチ・ザ・ベイトを意識した釣りを追求。現場にてリアルに必要となるルアーを自らの手で生み出している。本人いわく「もっともノリーズルアーを使っていないプロスタッフ(笑)」

― 折金一樹(おりかね・かずき)

亀山湖や高滝湖にてフィッシングガイドを行うプロアングラー。メインでサポートを受けるO.S.Pのオリカネムシやオーバーリアルは、自身が手掛けた改造ルアーが元となっている。高次元の知識やテクニックに独創的な発想を持ち合わせており、その醸し出す世界観が独自でクセになる。YouTube「オリキンちゃんねる」も大好評!

― 玉置証(たまき・あかし)

関西の大人気レンタルボートフィールド・津風呂湖で名を馳せるロコアングラー。ひと呼んで「津風呂湖の怪人」読みやテクニックなど、誰もが認める実力を持ちながらも、美学に即した釣りを貫き通すことを愛する。しかしそれは単なる理想論だけではなく、確固たる経験に裏付けされた未来のストロングパターンなのである(多分)。

左から石井さん、折金さん、玉置さん。

閲覧注意の奇天烈ルアー15連発!! この衝撃に耐えられるか!?

― 市販ルアーで我慢できなくなってきたアナタへ

毎年、把握しきれないほどの新製品が登場するバスルアーだが、その傾向には大きくわけて2つある。ひとつは、お馴染みのジャンルのルアーをより深く掘り下げたもの。つまりはクランクベイトの新製品といったタイプ。そしてもうひとつが、新しいジャンル。近年(といってもずいぶん経つが)ならアンブレラリグ(アラバマリグ)やブレーデッドジグ(チャター)の登場がこれにあたるだろう。

どちらにしても我々アングラーを大いにワクワクさせてくれるのは間違いないのだが、もしかしたらそれでは物足りなく思っているアングラーがいるかもしれない。彼らが求めているのはより顕著な釣果? さらなる刺激? 己の美学? そのどれもであり、つまり市販されるルアーではときにその欲求を満たすことができずにいるのである。そこで彼らが用いた手法。それがルアーの改造であり自作なのだ。

2月末。春の足音が聞こえ始めた亀山湖に集ったのは、そんな欲求に突き動かされ、自らの手で「ワクワク」を生み出してきた3名。彼らの脳内に誕生し、そして受肉したルアーを手にやってきたのだ。

しかしながら、その生まれるに至った経緯や理由を知れば、それらのルアーが決して妄想の産物ではないことに気がつくだろう。それは限られたシチュエーションを完全攻略するための特化型であり、ルールのスキを突くコロンブスの卵であり、巨大なモンスターを反応させるための特効薬でもあるのだ。そしてその発想がやがて、全国各地で理解される日がやってくるのかもしれない。そう。ここから先に登場するルアーたちは、未来のルアーの可能性を表しているのだ……。

石井さんの先鋒「ギルワッキーハード」

― ギル型ワッキーワームがハードルアーへと進化!?

石井「これはワッキー(ヨコヨコ)ですよ。アフター以降に、バスの目の前を永遠に漂わせて使うイメージ。最初はソフトベイトから始めたんだけど、段々とハードルアーに変わっていったっていう。ヒレとかジョイント部分はまだソフトだけど。フックが反対側についているので、めちゃめちゃ根掛らない」

折金「フッキングはどうなんですか?」

石井「ハフって来るから中々かからないですねぇ」

折金「こんなフックサークルみたことないですね(笑)」

ジョイント部分はシリコン製。ストレートボディでは回収時に回転してしまうため、適度に曲がらせるために採用している。適度に張りのある素材なので、アクションにもいい影響を与えそうだ。

折金さんの先鋒「ハワイの置き土産」

― ベントミノーの試作…ではありません!

折金「亀山でギルフィーディングがすごくて…」

石井「もう結構昔だけどね(笑)」

折金「結構昔(笑)。このまま使うと浮いてベントミノーみたいに使えるんだけど、テキサスリグにして沈めて、バババっと動かしてイレギュラーアクションで食わせます」

石井「くるくる回っちゃわないの?」

折金「バンバンと動かしたら終わりなので気にしませんが、そのまま使ったら回りますね」

石井「ボディは中空なの?」

折金「硬い中空。元はキーホルダー」

石井・玉置「(笑)」

玉置「キーホルダーって意外といいのありますよね」

石井・折金「(笑)」

折金「どこで買ったかは全然覚えてないんですけど、ギルフィーディングにちょうどいいサイズ感と、塗装のリアルな感じがいいなと思って作りました」

玉置さんの先鋒「ソフトカイテン」

― ソフトベイト化で余計な音を排除!?

玉置「これは単純にカイテンをソフトにしただけ(笑)。もちろん大きなリスペクトありきですよ? ガチガチのハードボトムなんかで使っているときに、プロップの音だけを際立たせて使うために作ったッス。背張り仕様にもできる、ボトムを引く用ですね」

石井「中にはワイヤーだけ?」

玉置「ワイヤーと、浮力体を入れてるッス」

折金「(カイテンを)ぶった切ったんですか?」

玉置「タテにぶった切って型を取ってワームを流し込んでいます。リスペクトがあったからこそ、このままでやってみました」

石井「マテリアルは?」

玉置「市販のワームを溶かしたんじゃなくて、自作用ワーム素材の硬めのやつを使ってます」

折金「これだけの量流すの大変じゃないですか?」

玉置「片面流して柔らかいうちに浮力体をいれて、すでに固まっているもう片面を張り合わせてます。なのでいわゆる流し込みとは違う方法なのでそうでもないですね」

石井さんの次鋒「円月殺法」

― ゆっくり&ハイパワー

トレーラーにはFGダディのテールをカットして使用。長いと甘噛になってしまうのだという。時にはアシストフックを使用することも。
ブレードの形状は、とにかく強力な水押しを求めたオリジナル。色々な形を試した上で現在の形状に行き着いたのだという。素材は真鍮だ。

石井「ブレードが水を押せる最大量を目指したワイヤーベイトです。FGダディがついてるけどこれ、ギルパターン用なんですよ」

折金「ギル!?」

石井「バスがギル好いてないと反応が鈍い。表層付近を引いて、見えるレンジで下から突き上げるようにして食ってきますね。ブレードはオリジナル設計で、バタバタバタって動く。チャターだとブレードが斜めになりがちで、マックスな水押しをどうしてもだせない。でもこれならそれができる。だからデカいのがよく釣れてますね」

折金「これのヘッドは…ガン玉?」

石井「6合のガン玉をはペンチで潰したりハンマーで叩いたりいしてこういう形にしてます」

玉置「これは沈めてゆっくり引いても動くんですか?」

石井「ゆっくりでも動くけど、沈めるとあんまり良くないかも。表層付近にバスを引っ張り上げる形でいつも釣れてるので」

玉置「なるほどなるほど」

石井さんは表層付近で使うことを想定して作っていたが、津風呂湖の玉置さんはもっと沈めて使うことをイメージ。ホームフィールドによる感覚の違いが面白い。

折金さんの次鋒「イラガ」

― ハードルアーをソフトベトのように使う

折金「ワーム禁止の西湖にあった桟橋だか台船の下にいっぱいバスが浮いていて、それを釣るためにハマクルが…こうなりました。短い距離でしっかりと動かしたくて」

玉置「ジグヘッドを使ってるのオモロイですね」

石井「なんでジグヘッドワッキーなの?」

折金「泳がせながらこう(ルアーをグネグネさせつつ)したかったから」

石井「それはスローシンキング?」

折金「そんなに早くはないですけど、太いラインのベイトタックルで投げやすい程度には重いです。釣果は…結構『掛けた』」
石井・玉置「(笑)」

折金「桟橋の骨組みがあって結構バレちゃうんですよね。でもかなり食わせてます」

ジグヘッドワッキー部分にはほとんどフックアップせず、ボディに増設された2箇所のフックにかかることが多いとのこと。よく見ると中央のボディからウエイトを抜いた痕跡も見られる。

玉置さんの次鋒「ピッコロさん」

― あえてジョイントさせない狙いとは?

玉置「これはジョイントを潰してジャークに特化させたジョイクロ。ベースはフローティングなんですが、オモリを下側に貼ることで、ジャークして止まったときにブルブルと震えるんですよ。これは何回か丸呑みもされています」

石井・折金「おー!」

玉置「バスが後ろについて、次のジャークの瞬間に全部吸うッスね。S字だと吸い込まれにくいと思っていて、そこがヒントになって作っています。ただ糸絡みしやすいのが難点ではありますね」

石井「ジョイントを止めているのはゴムかなんか?」

玉置「ルアーボックスの下に入ってるような発泡素材を切ってはめ込んでます。これなら水を吸いにくくて、浮力を失いにくい。トレブルフックを買ったときに入っているようなタイプだと水を吸っちゃいますね」

折金「カラーが緑なのは何かあるんですか?」

玉置「こっちから見やすいんです。遠くに飛ばした先でも意図した操作をしやすくしてるんです」

ブラックデュラゴンのテールを移植。非常に柔らかな素材でできており、水面に漂うだけでもふわふわとした魅力的な動きを披露する。

石井さんの中堅「美脚ブス」

― 石井のカエルは足が違う!

石井「今の時期にぴったりな『カエル』です。温かいまとまった雨が降るとバスがカエルを食べにくるというパターンを狙ったルアーです。色々試してみた結果、ツインのシャッドテールが1番だと思うようになりました。多分シャッドテールのツインテールって、ほかにないんですよね。あっても向きが違う。通称・ブルフロッグです」

折金「多分この向きだと型を抜けないからじゃないかな」

玉置「ブルフロッグ。いい響きですねぇ。フッキングはこのトレブル部分を重視してるんですか?」

石井「そうだね。でも濁ってたらガッツリ食ってきてくれるからいらないこともあるけど」

折金「このウエイト、板でラダーみたいになってるのがオシャレですね」

石井「形にはとくに意味はないけどね。とにかく重心を低くして、着水時にちゃんと下向きになってほしくて取り付けてるだけだよ」

ブルフラットのテールを切り取り、代わりにスプーンテールのシャッドテールを2本取り付ける。既存品にはない形状だ。ライターや専用の接着剤を使って切り貼りが出来るので、ワームの改造はお手軽かつ奥が深い。
オフセットフックのシャンク部分にトレブルフックをセット。さらにシャンク部分にウエイトを取り付けることで、着水時のひっくり返りを防止、万が一裏返っても復帰は早い。

折金さんの中堅「鮎ちゃん」

― ヤングオリキンが作ったリアル系ビッグベンシル

折金「高校生の頃に作ったペンシル。今見ると対して大きくはないんだけど、当時はこれでもかなりデカかった。スーパースプークを使ってて、もっと大きくても行けるだろうってことで作りました。実際すげー釣れました。ボロボロになっているのもバスのせいですね」

玉置「大事に取っているんでしょうね。これは普段飾ってるんですか?」

折金「いや、実家に埋もれてた(笑)。大きいルアーは釣れるんだって、これで学びました。周りの大人がそんなんじゃ釣れねーぞって顔で見てくる前で、ボコボコに釣りましたよ

石井「これ、タバコのアルミ?」

折金「ダメです。当時高校生です(笑)。これは確か当時売ってたハンドメイドルアー作り用のアルミですね。家庭用よりも薄いですね。今にしてみると、スリーフックにすればよかったのにって思いますね」

玉置「名前はなんすか?」

折金「う~ん…アユちゃん?」

学生時代に作った作品ではあるものの、アルミ箔を使って胸ビレまでデザイン。塗装はエア缶式のエアスプレーを用いていたとのこと。トップコートはおそらくウレタン。
学生時代の作品とは思えないクオリテイに一同驚きを隠せない。作り方の説明をどこかで見たかもしれないが、詳細がわからなかったため、色々間違っているかもしれないとは折金さん。折金「セルロースセメントってなんだよってなってました(笑)」

玉置さんさんの中堅「マ●オの土管」

― 玉置ワールドの真骨頂!?

折金「えー!? えー!?(裏声)」

玉置「そのリアクションを待ってましたわ(笑)」

石井「塩ビパイプ?」

玉置「そうです。塩ビポッパー。これはガキの頃に作ったホウキの柄を使ったポッパーが元になってます。当時からポッパーで中を抜いたものないのかなと思ってたんですが、それの再現。今回はバンドで浮力体を縛り付けてるっていう。水面で早巻きするとゴボボボゴボッボボボって来るんですよ」

石井「アブクが長く続いてくるんだ」

玉置「それにめっちゃデカいのが反応するんです。でも止めたら見切られるのでずっとチェイス(笑)。これをもとに、今はよりリアルなデザインのものを考えていますが、自分がルアーフィッシングにハマったきっかけだったり今なお魅力を感じているのは、こんなルアーでも釣れるというところなんです」

折金「緑のタイラップ(結束バンド)ってあんまり売ってないでしょ」玉置「わざわざ探して合わせました。なのでめっちゃこだわりです(笑)」折金「それを探している姿を想像するだけで笑えます(爆笑)」
結束バンドで固定された浮力体はボディを浮かせるためというよりは、姿勢を制御させる意味合いが強い。使用しているのはジョイクロのジョイント部分にはめていたものと同じものだ。

石井さんの副将「冷凍フィッシュ」

― 氷漬けになったようなオリジナルギルルアー

石井「見ての通りのギル系ルアー。でも市販のルアーじゃ動かない領域。超超ウルトラデッドスローで動くように作って、エポキシでコーティング。破損したところはシリコン(シーラント)で補修してます。シリコンといってもシリコンシーラーだから白濁してるんだけどね」

玉置「それ塗るの、難しくないです?」

石井「偶然発見したんだけど、シリコンって素材によってはくっつかない。ポリラップってラップが100均とかにあるんだけど、シーラーを塗ったルアーの上にそのラップを張って伸ばして、固まったらすっと剥がせる。他のラップはなにやってもだめだったね」

玉置「味出まくってますねぇ」

ボディ各所にウエイトを貼って微調整。シリコンの上にはウエイトを貼ったり剥がしたりの作業が容易なのだとか。こうして塗り重ねられたシリコンにより、その見た目はまるで凍った魚のようになっている。
超デッドスローでも動くキーでもあるジョイントボディ。使用している素材は発泡ウレタンの「ミケラン次郎」ワイヤーを挟み込み、削り出す形で成型している。そのため、ギル食いのビッグバスヒットしても強度面は安心だ。

折金さんの副将「分銅」

― ワームのリグもオリジナル系を模索!

折金「これは立つ。引っ掛からない。そんなダウンショットリグのイメージですね。しかも長めのワイヤーを使うことでボヨンボヨンするようにしてみた。きっかけは、高滝のフラットでどうにかして違う魚を釣りたくてたどりついた。いわば硬いダウンショットですかね」

石井「ズル引きすると結構激しく動くんじゃない?」

折金「ボトムの形にもよりますが、どちらかというとビビビビビって微振動するイメージ。それからボトムから必ず一定距離浮かせられる。チェリーリグに近いかもしれません」

ワイヤーには硬い素材を使用しているので、着底後にビタッとリグが静止する面白いアクションを発生。ズル引きならボトムの起伏にそってシンカーが暴れることで、ワイヤーがそれをワームに伝達し微振動を発生する。
フックは固定式。同じくワイヤーがリーダーとなるチェリーリグと大きく違う点だ。水中ではセットしたワームの姿勢が水平になりやすく、生命感を演出しやすい。
折金「コータロー(川村光大郎)にはさんざん馬鹿にされたやつです(笑)。今はもう使ってなくて、家にも実家にもなかったので今日のために作り直したんです(笑)」

玉置さんの副将「究極時械神アカシオン」

― カバーをガンガン引けるハイブリッドルアー!?

玉置「単純にジグトレーラーにスプーンです。昔ガード付きのスプーンがあったけど、そんなにガード力がなくて、カバーの中では扱いにくかった。だからこれを作りました。レイダウンとかのカバーにいれて、チュンチュンと動かして、ストレスなく抜けてこられる。フォールはスパイラルフォールみたいな感じですね。でも食わせるのはそこからカバーにガチガチぶつけるようにして巻いてくるイメージ。硬くて丸呑みできるものがカバーの中で暴れまわっても根掛かりしない。そんなシステムです」

折金「ジグがパドリングしているみたいなイメージだ」

玉置「スプーンとジグの組み合わせも色々試しましたが、これが1番トラブルもなくちょうどいいサイズ感でした。亀山のカバーでも、いるけど食わないみたいな魚に対して会心の1撃的に効くかもねと思ってます」

初代Dスプーンのヘッド側に穴を2つ開け、コンツァージグに針金で固定したシンプルな構造。そのせいか非常に完成度が高く、すでに存在するルアーのような印象も受ける

石井さんの大将「コエンマギル」

― 吸盤が生み出すハイピッチアクション

石井「吸盤リグですね。ワームにつけるのをやってみて、面白い動きだなぁって。そこでこれをもっと大きなルアーにつけたらどうなるんだろう? っていうのが発端ですね。いざ使ってみると、いきなり50アップが釣れました。動きはゆっくり巻くだけでありえないほどのハイピッチで泳いでくる。吸盤自体がよく動いて、ルアーの方もそれに連動して動くんです。ただ、ずんぐりむっくりしているルアーに吸盤リグを組み合わせると動きが安定しないので、吸盤の形を調整しています」

折金「すごく歪な感じですけど…」

石井「湖上でハサミを使ってチョキチョキっとやったからね(笑)」

吸盤リグの詳細は、先端からスプリットリング、ゴム管、ビーズの順。ルアーは3Dブルーギル125(サベージギア)だ。それを14lbのフロロカーボンラインで繋いでいる。

折金さんの大将「夏休みの工作」

― 希薄な存在感と強烈なフラッシング!

石井「素材はアルミ?」

折金「アルミです。これも元々作ってたやつがどこにいっちゃったのかわからないので作り直しました。流石にこれなら探すより作ったほうが早いかなと(笑)。軽いものがヒラヒラ落ちるというものはあんまりないなと。ゆーっくり巻いて使います。存在感は薄いけど、キラキラして主張する。いざ使ってみたら、バスもニジマスも釣れました。大きいのも作ったんだけど、大きくなればなるほど欠点が見えてきた」

石井「飛ばないんだ」

折金「追い風だとめちゃくちゃ飛ぶんですけどね。風に乗って気持ちいいくらい。あと自分で曲げて角度を変えられるので、色々試しながら使える。ただデカいのが釣れると終了(笑)」

素材には0.3mmのアルミ板を使用。アルミ缶よりも少し厚い程度。ドラグファイトを多用するスピングタックルなら、この厚さのアルミでも千切れず魚が釣れるとのこと。

玉置さんの大将「ゼニエモン」

― とんでもないサイズ感のオリジナルバドは10回振ってから投げるとクリーミー!

玉置「これ、動きヤバイっす。めちゃくちゃ良いっす。作ったのはコロナ禍の1発目のお家時間でしたね。缶を素材にして大きく作ると強度的に難しいかもしれなかったんですが、それの試験的な意味合いも兼ねて作ってみました」

石井「相当な水押しだよねこれだと」

玉置「水押し、強いですね。その分、浮力が相当高いので、食いついたバスがどのくらい潜れるかとかも気になりますね」

石井・折金「(笑)」

玉置「釣るまではいっていませんが、けっこう投げ込んでますね。池原でも投げてみたんですが、そのときは見に来ただけでした」

折金「結構立ち泳ぎみたいになるの?」

玉置「水を受けたら多少ケツはあがりますね。ヨタヨタ『缶』が良いッス。缶だけに。そんなの今いらんねん」

石井「(笑)。この鈴がまたいいね」

玉置「真鍮製の古いものなんですよ。解体屋に知り合いがいるので見つけたらとっておいてもらったりね。まぁこれ、投げる前に10回以上、振らないといけないんですけどね」

石井・折金「……?」

玉置「めっちゃ滑っとりますやん!」

※編集部注 飲む前の注意書きとして缶に「10回以上振ってください」と書いてあります!

バド系ルアーのブレードにあたる部分には鈴を採用。古い真鍮製でよく通る大きな音がなる。そのサウンドは、バックウォーターで泳がせていて下流に聞こえてくるほどだとか
フックは外部にスイベルや極太ラインを使用して配置。ボディ内部は限りなく空洞になっているため、浮力は非常に高い。飲み口はシリコンで塞ぎ、その上に木製のヘッド部分を取り付けている。

3人のマッドサイエンティストに質問!「ルアーの未来や進化、今後の流行について」

― 石井さん「ベイトフィッシュの存在はいつまでも裏切らない&誰も使わないルアー(=自作)のススメ」

う~ん…とくにないかな。でも例えば房総のフィールドなら、カエルがいてギルがいてあとワカサギとかワタカがいたりいなかったりするわけだけど、その系統(ベイトに合わせた)のルアーは今後も強いとは思いますね。今日紹介させてもらったような自分で作ったルアーはそういった面をクリアしつつ、他に使ってるひとがいないから強いんです。このスタイルなら、自分だけがいい思いをし続けられるチャンスがありますよ(笑)」

― 折金「まだ見ぬ要素のかけ合わせに可能性あり!?」

ルアーってある意味もう出尽くしてますよね。ルアーの性格のベクトル、例えば大きさとか、スピード感とか動きとか。それらの組み合わせのパターンは1個1個潰されていってる。でもそれもまだまだ全部じゃない! 色んな要素の組み合わせによる発想もまだまだ面白いですよね。一方で、本物に似せるという方向性は一見目指すところがあるようで、なかなか本物にはなりきれない。ただ意に反して、ならない部分がルアーとしてのパーソリティーを持つ。そういった視点でルアーを見たり試したりすると面白いはずです。

― 玉置「使いこなせてこそ爆発的な威力を発揮するルアーが増えて欲しい」

誰もが投げて釣れるルアーというよりも、個人個人が使いこなしてこそポテンシャルを発揮できるルアー。そういう方向性のルアーが増えてきたら嬉しいですね。オリキンがいるんで例としてあげますけど、O.S.Pのベントミノーって、タックルバランスを最適化させて使いこなせればエグいほど釣れるルアーになるんです。でもその詳細は自分だけが知っていて、世の中的に全然知られていない。これは極端な例ですけど、そんな感じですわ。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

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