北海道沖で引きあげ「海軍工廠」の大砲 広島・呉市に到着 大和ミュージアムが調査 展示も検討

100年以上前に広島県呉市の海軍工廠で作られたとみられる大砲が、北海道の沖の海中で見つかり、12日午前、広島・呉市に到着しました。

呉市の大和ミュージアムに到着したのは、北海道から陸路で運ばれてきた大砲です。全長は約3.1メートル、幅は約40センチで、重さは約1トン。職員たちが台車などを使って館内に運び込みました。

この大砲は、おととし11月、北海道積丹町の30キロ沖合いで蟹かご漁船の網に引っ掛かり、海底から引き上げられました。

「呉海軍工廠」や「明治39年」などと刻まれた銘板があったことから、海軍工廠初期に作られたことがわかりました。

鉄製の大砲だけでなく、木製部分も残るなど歴史的価値は高く、先月、呉市は国から5万8300円で買い取ったということです。

呉市海事歴史科学館 林悦子 学芸課長
「海に沈んで100年以上経って、今、また呉の地に返ってきた。その歴史的経緯もみなさんに感じてもらいたいし、平和に対して思いをはせてもらいたい」

北海道沖で旧海軍の艦艇が沈没した記録はありませんが、呉市は、「海軍に徴用された民間の船が武器などを運んでいるときに北海道沖で沈んだ可能性がある」と見ています。

今後、文献などで船を特定する調査を進め、将来的には一般展示も検討したいとしています。

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