神戸市立小の18年前のいじめ 「不十分で不適切な行為あった」教育長ら被害男性に謝罪 記録不開示の「故意性」は否定

報告書の提出を受け、被害者との面談に望んだ長田淳教育長(右)ら=12日午後、神戸市内

 18年前に神戸市立小学校で起きたいじめを巡る問題を調査した第三者委員会が先月、市教育委員会の隠蔽行為を指摘する報告書をまとめたことを受け、長田淳教育長らが、当時5年生だった被害男性(28)や父親と面談した。冒頭、長田教育長は「不十分で不適切な行為があった」と頭を下げたが、被害者側は一部の事実関係を認めない姿勢などを理由に謝罪を受け入れなかった。

 報告書では、市教委が昨年まで被害者への聞き取り文書が「ない」と答えてきたことを「(聞き取りの)資料の秘匿という違法行為を隠蔽するために虚偽答弁を重ね、非常に悪質」と指摘。長田教育長らは、不適切だったと謝罪したが、故意性は否定した。

 面談には、当時の担任教諭や教頭も出席した。報告書は、当初学校がいじめを認める姿勢を見せていたのに市教委が転換させたことや、転校の妨害について触れているが、心境や意図を問われても「覚えていない」などと繰り返した。

 被害男性は面談を終え、「誠心誠意の謝罪や再発防止策を期待していたが、こちらの思いとはかけ離れた対応だった。時間が無駄になった」と切り捨てた。(大橋凜太郎)

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