【インドネシア】マスクの着用義務を廃止[社会] 9日付、公共交通が相次ぎ対応

マスク着用義務の廃止に関する規定が9日付で公布されたが、12日朝の都市高速鉄道(MRT)車内ではまだ乗客の多くがマスクを着用していた=12日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

インドネシア政府は9日から、新型コロナウイルスの感染防止対策として適用していた、国内外での移動や大規模イベント、公共施設でのマスクの着用義務を廃止した。首都ジャカルタ特別州では、州営公共バスや都市高速鉄道(MRT)でもマスク着用義務が即日廃止されたが、12日朝の時点でMRTではマスクを着用している乗客が引き続き多かった。

マスク着用義務の廃止は、新型コロナウイルス感染症緊急対策本部(タスクフォース)が9日付で公布、即日施行した回状『2023年第1号』で規定された。同回状では、新型コロナに自身が感染するリスクや、他人に感染させるリスクの低い健康な人は、マスクを着用しなくてもよいとされた。

一方で、政府公認の保健サービス情報アプリ「サトゥ・セハット(SATUSEHAT)」を引き続き使用することや、手指消毒剤の使用を推奨している。

また、特に感染リスクの高い人には、新型コロナワクチンの3回目または4回目の接種を引き続き推奨するほか、感染を防ぐために人混みを避けることを推奨した。

タスクフォースによれば、国内の感染者は減少傾向にある。11日の全国の新規感染者数は111人。9日以降は3日連続で、200人以下で推移している。

■公共バスでは会話も可能に

ジャカルタ特別州運輸局も同様に、マスク着用義務を廃止する内容の回状『23年第26号』を9日付で公布、即日施行した。ただ、12日午前7時ごろ通勤のためにMRTに乗車した会社員のアニタさん(29)は「まだ乗客の多くがマスクをしていた」と話す。

ジャカルタ特別州のMRTを運行するMRTジャカルタや州営バス「トランスポルタシ・ジャカルタ(トランスジャカルタ)」などの公共交通機関はコロナ下で、車内での乗客同士の会話や携帯電話での通話を禁止していた。MRT運営会社の広報担当者はNNAに対し、1月下旬以降は会話の禁止をしていないものの、引き続き会話を控えるよう呼びかけていると説明。トランスジャカルタの運営会社の広報担当者は、新回状の公布を受けて車内での会話を認めていると明らかにした。

一方、運輸省も10日、陸運、海運、空運、鉄道それぞれについて関連規定となる回状4本を9日付で公布したと発表した。だが、首都圏の通勤電車を運営するクレタ・コミューター・インドネシア(KCI)は12日朝の時点でもまだ着用義務を適用した。同日午前にNNAが同社に確認したところ、「運輸省の回状をまだ入手していないため、マスク着用義務を継続している」と説明。回状を入手次第、すぐに適用すると付け加えた。その後、KCIは同日夕に公式ツイッターでマスク着用義務を廃止したと発表した。

国営空港運営アンカサ・プラ2、国鉄クレタ・アピ・インドネシア(KAI)も12日に、いずれもマスク着用義務の撤廃を発表した。

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