トヨタ自動車は電気自動車(EV)の航続距離を伸ばせる「全固体電池」について、2027~28年の実用化を目指す方針を12日までに明らかにした。課題としていた耐久性の向上に成功し、実用化に一定のめどがついたという。次世代電池の早期投入は、EVで先行する海外勢に追いつく鍵となる。静岡県の研究拠点でメディア向けの技術説明会を開いた。
全固体電池の開発は国内外のメーカーが加速させており、日産自動車は28年度までに、ホンダは20年代後半の実用化を掲げる。トヨタはハイブリッド車(HV)に20年代前半に搭載するとしてきたが、EV需要の高まりから方針を転換。先駆けた商品化へ競争激化が予想される。
電解質を固体化した全固体電池は、劣化しにくく100度以上の熱にも耐えられる。トヨタの現行EV「bZ4X」の3分の1の約10分で急速充電が可能で、航続距離は2倍以上に伸ばせる。今後は量産できる工法の確立と価格低減が課題だ。
トヨタは現在主流のリチウムイオン電池の性能向上にも取り組む。