金大観光学類の定員を倍増 文科省、来年度特例で認可

  ●文化観光の金沢をモデルに

 文部科学省が来年度の金大融合学域観光デザイン学類の入学定員について、現行の20人から55人への増員を認めたことが12日、関係者への取材で分かった。若者の地元定着を促す特例的な措置で、文化観光などをけん引する人材の育成を「金沢モデル」として展開する。石川県は4月、全国に先駆けて部局横断型の「文化観光推進本部」を設置しており、文化観光の推進に弾みがつきそうだ。

 金大は2022年度に観光デザイン学類を設置。観光産業の課題解決に多角的に取り組み、新たな価値を見いだすことのできる人材の育成に取り組んでいる。多彩な文化資源を持つ金沢での学びは地方創生につながるとして、文科省に同学類の定員増を申請していた。

 文科省はこれまで、少子化や私立大への配慮から国立大の定員増を認めていなかった。だが、地方で進学したり就職したりする若者を増やして都市部への人口流出を食い止めるため、政府が20年12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改定して方針を転換。22年度から定員増を特例で認め、各大学から申請を受け付けている。

 県の文化観光推進本部設置を巡っては、岡田直樹地方創生担当相が4月、北國新聞社を訪れて飛田秀一会長と懇談した際に提案し、県観光連盟会長を務める飛田会長に協力を要請。馳浩知事はこれを受け、文化観光と食文化の両推進本部の設置を決めた。

 県が全国に先駆けて文化観光と食文化に関する部局横断型の推進本部の設置を決めたところ、文化庁は同月、「石川モデル」として全国の地方自治体に体制整備を呼び掛ける都倉俊一長官名の通知を出した。

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