金沢競馬で火災1遺体 宿舎の60代男性厩務員か

消火に当たる消防隊員=12日午後9時40分、金沢市八田町西の金沢競馬場宿舎

 12日午後8時23分ごろ、金沢市八田町西の金沢競馬場敷地内にある2階建て厩務(きゅうむ)員宿舎から出火、2階部分を燃やし、約1時間40分後に消し止めた。2階の室内から身元不明の1人の遺体が見つかった。この部屋に住む厩務員の60代男性と連絡が取れていない。金沢東署と市消防局は遺体の身元確認を急ぐとともに、13日に実況見分を行い、出火原因を調べる。

  ●競走馬は無事

 金沢東署と市消防局によると、宿舎は1階に2部屋、2階に2部屋の計4部屋あり、1階部分はほとんど燃えていなかった。2階の1部屋に厩務員1人が住んでおり、他の部屋は空いていたとみられる。競馬場の保安員が119番通報した。

  ●2月にぼや 築50年で老朽化

 宿舎には馬房が隣接している。男性調教師(46)によると、中には競走馬十数頭がいたが、避難させて無事だという。調教師は「消火器を持った人が部屋を開けたが、煙がすごかったと聞いた」と語った。

 金沢競馬場では2月に別の宿舎で火事が発生しており、石川県競馬事業局は火の取り扱いに注意を呼び掛けていた。

 出火した宿舎に住んでいた男性を知る男性厩務員(63)は「煙がすごく火事と気付いた。朝早い仕事で(住人は)出火当時、寝ていたかもしれない」と話した。20代女性厩務員は「宿舎の周辺は古い建物が密集している。一度火が出たら危ない」と不安な表情を浮かべた。

 金沢競馬場には、宿舎と馬房を併設する厩舎が45棟あり、厩務員とその家族は約60人が住んでいる。厩舎の大半は、競馬場が現在地に移転した1973(昭和48)年に建てられた。築50年で老朽化が著しく、県競馬事業局は昨年度から建て替えに着手、3月に最初の1棟が完成した。

 最終的に20棟程度に集約する計画で、今年度は4棟を取り壊し、2棟を新築する。完了までに10年以上かかる見通しである。

  ●レースは予定通り今村騎手が復帰戦

 石川県競馬事業局によると、金沢競馬の13日のレースは予定通り行われる。

 同日は、JRA開催日にスマートフォンを不適切に使用し、30日間(5月13日~6月11日)の騎乗停止処分を受けた人気ジョッキー今村聖奈騎手(19)が復帰戦を迎える。

 今村騎手は第1レース(午前11時55分発走)から最終の第12レース(午後6時半発走)までの間に8回騎乗する。

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