動物がマダニ感染症増に関与 外来種捕獲強化を 森林総研などが調査

フタトゲチマダニの成虫。体長は約3ミリで、吸血後には1センチにまで膨れ上がる(森林総合研究所提供)

森林総合研究所などの研究グループは、マダニの一部が媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のウイルスを保有するマダニの増加に、アライグマやハクビシンなどの外来生物を含む食肉目(ネコ目)が強く関与していると明らかにした。人里の近くで増加する外来生物の捕獲圧を強め、頭数管理の必要性を指摘する。

同研究所の岡部貴美子研究専門員や国立環境研究所などの研究グループが、2020年度~22年度に行った調査で報告した。

野生動物のSFTSウイルスの保有率を調べることで、マダニに受け渡す可能性を調べた。

公表した資料によると、アライグマが同ウイルスを保有する割合は2・4%。鹿(同0%)やイノシシ(同0・2%)と比べて高い保有率を示した。

岡部研究専門員は「アライグマやハクビシン、タヌキ、アナグマ、猫でウイルスの保有率が高かった。これら食肉目が、ウイルスを保有するマダニを増やすことに、強く関与している」と分析する。

同研究所の調査では、鹿の密度が高いところではSFTSを媒介するフタトゲチマダニも増えるという研究結果も出ている。「人里に近い場所での野生動物の密度管理や外来種の駆除が必要だ」(岡部研究専門員)と指摘する。 大森基晶

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