女たちの選択を“残す”使命を託された男 ベン・ウィショーが演じる 「ウーマン・トーキング」本編映像

本年度のアカデミー賞で脚色賞を受賞した「ウーマン・トーキング 私たちの選択」(上映中)から、本編映像の一部が公開された。男性が女性よりも優位な立場にあるコミュニティのなかで、唯一中立な立場として、女性たちの話し合いを書き留め続けるオーガストの、優しさやコミュニティに男性として属する苦悩が垣間見える姿が切り取られている。

オーガストは、コミュニティの他の男たちから「男らしくない」と思われている優しい男性。村で教師として教育に携わっているが、学校に通うのは少年と若い男性だけで、少女たちは教育を受けていない。オーガストはオーナ(ルーニー・マーラ)と恋仲で、オーナは彼に話し合いの議事録を取るように頼む。話し合いをする女性たち自身は読み書きができないが、その記録を残したかったからだ。

映像は、議論の合間に気分が悪くなったオーナに付き添う形で井戸に行くオーガストが、自らの手に水をくんで、オーナの口元に添えるカットからスタートする。オーナは書記の役割を果たすオーガストに感謝の言葉を送るが、オーガストは目を伏せて「ごめん オーナ」と謝る。加害者と同じ男性でありながら、オーナや女性たちに起こった悲劇に胸を痛めるオーガストの苦悩が痛々しい表情に表れている。「君と子供の面倒は僕が見る」と告げるオーガストの静かなほほ笑みは、彼の中にある愛をのぞかせる。

オーガストを演じているのは、「007」シリーズのQ役で知られるベン・ウィショー。Q役ではクールだがおちゃめな姿を見せているウィショーだが、本作では女性たちと同じように心を痛める物静かなやさしい男を演じている。

「ウーマン・トーキング 私たちの選択」は、2005年から2009年にボリビアで起きた実際の事件を元にした、ミリアム・トウズによるベストセラー小説「WOMEN TALKING」を原作とした作品。舞台は 2010年の架空の村。自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きる女性たちがたびたびレイプされる。これまで女性たちはそれを「悪魔の仕業」「作り話」などと男性たちに否定されていたが、それが実際に犯罪だったということを知る。男性たちが街へと出かけている2日間、彼女たちは自らの未来をかけた話し合いを行う。

監督・脚本は、「アウェイ・フロム・ハー」で監督・脚本家としてデビューし、数々の賞を受賞したサラ・ポーリー。本作で、本年度アカデミー賞の脚色賞を受賞した。2度のアカデミー賞ノミネート歴を持つルーニー・マーラが主演を務め、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショーらが出演している。出演とプロデュースを務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドは、本作のオプション権を獲得後、ブラッド・ピットが率いる映画制作会社「PLAN B」へ話を持ち込み、映画化が実現した。

【作品情報】
ウーマン・トーキング 私たちの選択
上映中
配給:パルコ ユニバーサル映画
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