水着撮影会「表現の自由」 埼玉県知事が中止要請の一部撤回を指導 未成年参加やポーズの統一ルール制定へ

県営プール撮影会が中止、大野知事「一律適用は不適切」

 公益財団法人埼玉県公園緑地協会が指定管理している県営プールのしらこばと水上公園(埼玉県越谷市)と川越水上公園で開催予定だった水着撮影会について、大野元裕知事は12日、同協会が中止を要請した6団体のうち、4団体については撤回するよう協会に指導したと明かした。

 大野知事は同日の記者会見で「しらこばとは12月に許可条件を設けていたが、川越にはルールがなかった。違反がない主催者の中止や、他の施設の条件を当てはめて中止をさせることは適切ではない」と説明した。

 公共施設で水着撮影会を行うことについては「表現の自由で、公が介入するものではない」との考えを示した。一方で「未成年の参加やひわいなポーズ(の禁止)はルールを設けないと分かりにくい」として加須を含める三つの水上公園で統一のルールを、専門家と共に検討するよう求めたとした。

 同協会は大野知事の指導を受け、4団体について中止要請を撤回。3団体はすでにイベントの日程が終了しているが、残る1団体は開催の可能性があるという。担当者はしらこばとのみルールがあったことについて「昨年のイベントで職員が巡回した際に過激なポーズを確認し、文字や写真、絵で禁止の具体例を示していた」と説明。統一ルールは「来シーズンに間に合うように検討する。当面はしらこばとのルールを代用するとともに、年齢制限などを設けたい」と話した。

 県公園スタジアム課によると、水着撮影会を巡り、11日までに県民などから県ホームページ上で「知事への提案」として問い合わせが1461件あった。同課や県公園緑地協会にも中止の理由など計141件の問い合わせがあったという。

■計4者の中止要請について撤回するべきと指導(6月12日の知事会見より)

 県営プールにつきましては指定管理者である公園緑地協会が管理・運営を行っており、企画に際して事業者との契約、運営の判断をしております。運営状況を指導・監督するのが県の立場であります。(公園緑地協会から県に対する8日の報告では)事業者が水着撮影会を実施したいということで、しらこばと公園については昨年12月に詳細な許可条件を定め、6月開催の撮影会利用予定の事業者が条件策定後のイベントで違反が確認されたことから、開催中止、今後の水着撮影会の中止を申し入れるとの報告がありました。

 違反がなかった主催者に対しても中止を求めたという報道が10日にあり、県として公園緑地協会に説明を求めたところ、川越水上公園には同じような許可条件がなく、(しらこばと公園の)1者については違反が確認されていなかったことも分かりました。

 明確な許可条件が定められていない施設において、他の施設の条件を当てはめてイベントを中止させることは適切ではない、許可条件策定後のイベントで違反が確認されなかったものに対して中止を要請することも適切ではない、この2点について公園緑地協会に伝達するとともに、しらこばと公園の1者、川越水上公園の3者への中止要請について撤回するべきと指導したというのが、これまでの経緯であります。

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