バニャイアのベストな週末。ドゥカティのパーフェクトなトップ3/第6戦イタリアGP

 MotoGP第6戦イタリアGPは、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が最高の週末を送り、ドゥカティがスプリントと決勝レース、ともにトップ3を占めた。今の彼らの激しい勢いと強さを象徴するかのようなレースだった。

 ドゥカティのホームグランプリであり、バニャイアのホームグランプリでもあるイタリアGPは、ドゥカティのファクトリーライダー、バニャイアの勝利によって沸いた。クールダウン・ラップではバレンティーノ・ロッシさながらのバーベキューのパフォーマンスが行われ、バニャイアは笑顔でホットドッグにかじりついていた。

「ハッピーだよ。イタリアでのレースウイークとして最高だ。今日、グランドスタンドやサーキットを見渡したら、素晴らしい光景だった。過去のムジェロみたいだったんだ。昨日、今日、ここに来てくれたすべての人々にありがとう、と言いたいよ」

 まさにバニャイアにとって、イタリアGPは完ぺきな週末になったと言っていいだろう。予選ではポールポジションを獲得。加えて1分44秒855を記録して、オールタイムラップ・レコードを更新した。レース中に雨粒が落ちたスプリントレース、完全なドライコンディションとなった決勝レース、ともに序盤からトップに立って、そのままチェッカーを受ける圧巻の勝利だった。

 決勝レースでは、ホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)がレース中盤まで0.5秒ほど後ろの2番手を走り、バニャイアを追っていた。ふたりのリヤのタイヤ選択は異なっていて、バニャイアがミディアムを選んでいたのに対し、マルティンはソフトだった。このため、バニャイアはレース序盤にソフトタイヤ勢との混戦を避け、レース後半に攻める作戦をとっていたという。

「今日、ホルヘがかなり攻めていたというのは、みんなが認めるところだと思う。彼はリヤにソフトを使っているとわかっていたから、オーバーテイクできるほど接近させないように力を尽くしたよ。それに、もし彼が前に出たら、ギャップを広げるだろうということはわかっていたからね」

 方や、バニャイアにとって決勝レースで唯一のライバルだったマルティンは、「今日は勝つにはほど遠いと思っていて、可能性があるとしたらペコがミスしたときだろうと思っていた。彼はミスしなかったけどね」と語っていた。そして、攻めているうちにリヤタイヤが限界に達したという。まさに、バニャイアの作戦どおりの展開になったということだ。イタリアGPはバニャイアのレースウイークだった。

 そして、同時にドゥカティのレースウイークでもあった。2023年シーズン、ドゥカティの勢いと強さが増すなか、ついにイタリアGPではスプリントレースと決勝レースともにトップ3をドゥカティが占める結果となった。そればかりか、スプリントレースではトップ5、決勝レースではトップ4までがドゥカティライダーだった。長いストレートを持つムジェロはドゥカティが得意とするサーキットの一つであるとはいえ、圧倒的な結果だ。

スプリント トップ3
優勝 フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)
2位 マルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)
3位 ホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)

決勝レース トップ3
優勝 フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)
2位 ホルヘ・マルティン(プリーマ・プラマック・レーシング)
3位 ヨハン・ザルコ(プリーマ・プラマック・レーシング)

 もはや、ドゥカティの敵は、ドゥカティ。そんなレース展開だった。シーズン序盤とはいえ、ドゥカティの猛威は疑いようがない。イタリアGPは、今季を象徴するひとつのレースだったかもしれない。

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