標識倒れ児童のランドセルに接触 事故受け小学通学路を緊急点検へ 青森県警

道路標識を点検する三沢署員=12日午後1時過ぎ、おいらせ町

 青森県おいらせ町の町道で9日、道路標識の支柱が腐食して倒れ、児童のランドセルに接触した事故を受け、県警は12日、県内全ての小学校付近の通学路を対象に標識の緊急点検を行う方針を明らかにした。県警は古くなった標識から順次交換を進めているが、高額な費用がネックとなっており、「更新が追いつかない状況だ」と頭を悩ませている。

 事故現場の標識を管理する三沢署は、事故翌日の10日から管内の通学路を対象に緊急点検を始めた。このうち同町の百石小学校周辺では12日、署員が支柱部分を揺らしたり、最高速度や一時停止などの表示部分を長い棒でたたいたりして、倒壊や落下の危険がないかを確かめた。同署の蝦名秋芳巡査長は「確実に点検して、未然防止に努めたい」と話した。

 事故は9日午後3時45分ごろに発生。同町染屋の町道で、歩道脇に設置されていた道路標識(長さ約3.5メートル、重さ約15キロ)の支柱が倒れ、下校中の児童が背負っていたランドセルに接触した。児童にけがはなかったが、支柱部分に腐食が見つかった。県警は、この標識の設置時期は調査中としている。

 町教育委員会は町内小中学校8校に注意喚起し、通学路の安全点検などを呼びかけた。現場に近い木内々小の泉隆知校長は取材に「日頃から通学路の安全点検はしているが、標識についても学校として気をつけていきたい」と答えた。

 一方、県警交通規制課によると、県内に設置されている道路標識は約6万本。県警は各署に対し、管内の標識を年1回点検し、問題があれば報告するよう求めている。今回倒れた標識について、三沢署は本年度の点検をまだ行っていなかったが、同課が昨年10月に直接点検しており、異常は認められなかったという。

 標識の交換年数について県警は明確な基準を設けておらず、設置から年月が経過したものから順次交換を進めている。だが、標識は1本当たり10万円ほどと高額。同課の高野繁光次長は「費用面がネックとなり、古くても交換が間に合っていないのが現状」と明かす。ロシアのウクライナ侵攻などによる金属価格高騰で費用はさらにかさみ、今後も交換には時間を要するという。高野次長は「壊れたり、傾いたりした標識はすぐに交換する」と話した。

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