キングス、険しい道から栄光の頂点に 悔しさばねに成長 「琉球新報スポーツ栄誉賞」

 Bリーグ2022―23シーズンで悲願の初優勝を勝ち取った琉球ゴールデンキングス。時には険しい道のりを歩み、悔しさも味わいながら栄光の頂点にたどり着いた。

 bjリーグに07―08シーズンから参戦したキングス。初年度はわずか10勝しか挙げられずに34敗。西地区最下位に沈み、「弱小球団」としてスタートした。2年目には現在のHCである桶谷大を招請し、後に永久欠番となるジェフ・ニュートンらが入団。西地区1位となり、初めてのリーグ制覇を達成する。その後、優勝を重ね、最終的にはbjリーグ最多4度の優勝を果たした。

 Bリーグは16―17シーズンにスタートした。初年度は西地区2位だったが、その翌シーズンから地区で6連覇している。21―22シーズンは初のチャンピオンシップ(CS)決勝に進んだが、宇都宮ブレックスに敗れて準優勝だった。

 今シーズンも西地区で頂点は譲らなかったが、当初から順風満帆ではなかった。CSに進出した島根スサノオマジック、広島ドラゴンフライズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズと熾烈(しれつ)な優勝争いを繰り広げた。シーズンを折り返した1月には一時4位に沈むなど苦しんだ。

 しかし、桶谷HCが掲げた、誰もが複数ポジションをこなし、どの選手がハンドラーになっても優位性を保つ「ポジションレス」と、負けが続いても選手の成長を信じ続けたことでできあがった「セカンドユニット」が試合を重ねていくごとに完成度を増し、最終節で地区優勝を決めた。

 CSは準々決勝の名古屋D、準決勝の横浜ビー・コルセアーズにそれぞれ連勝し、決勝進出を決めた。相手は今季最高勝率をマークし、キングスの持っていたレギュラーシーズン連勝記録を破った千葉ジェッツとなった。

 千葉ジェッツとは天皇杯決勝でも対戦し、キングスは敗れていた。リーグ制覇との2冠を狙った“史上最強”チームを相手に、キングスは相手の武器である3点弾を封じながら、強みのインサイドから得点を重ね2連勝。負けなしの無傷で頂点まで駆け上がり、東地区以外で初めてのBリーグ王者となった。

 オフに入り、優勝の立役者であるコー・フリッピンやジョシュ・ダンカンらが退団した。それでも優勝を経験した選手の多くが契約を更新した。引き続き、新加入選手や桶谷大HCの契約などに注目が集まる。23―24シーズン、キングスだけが挑めるリーグ連覇へ向け、動き始めている。

 (屋嘉部長将)

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