ル・マンに鈴鹿2&4、怒涛の2週間でレベルアップした渥美心。EWCスパ24時間では2年連続表彰台へ!

 2023年の渥美心はFIM世界耐久選手権(EWC)に参戦しているが、3度の24時間レースではOG MOTORSPORT WORLD ENDURANCE TEAMから、鈴鹿8耐にはS-PULSE DREAM RACING – ITECから出場することが決まっている。そんな彼が連戦で戦ったル・マン24時間と鈴鹿2&4レースを振り返る。

 開幕戦ル・マン24時間では、途中リタイアに終わったもののライダー1名が怪我したことにより、2名でできる限り長く走った。悔しい思いを経験したが、気持ちを切り替えていた。

渥美心(OG MOTORSPORT WORLD ENDURANCE TEAM)/2023EWC第1戦ル・マン24時間

 そしてル・マン24時間の翌日に帰国の途についた渥美は、水曜日には鈴鹿サーキットに入った。木曜日から鈴鹿2&4の走行を開始するというハードスケジュールだ。

「時差ボケはやっぱりありましたね。木曜と金曜が結構辛く、特に金曜はしんどかったです。疲れ果てた状態で夜を迎えられたので、ようやくしっかり寝れて、土曜、日曜の予選・決勝はある程度リフレッシュした状態で、望むことが出来ました」

渥美心(S-PULSE DREAM RACING – ITEC)/2023全日本ロード第2戦鈴鹿2&4

 それだけでは万全ではないため、昼寝などをして「しっかりと体調管理を決勝に向けてできるようにいろいろやってみました」と耐久で培った時間の使い方を上手く組み込んだ。

 鈴鹿2&4の参戦の目的は、S-PULSE DREAM RACING・ITECで走る2度目の鈴鹿8耐に向けてのこと。生形秀之の代役でもあり「去年よりも『さらに一皮剥けた走りをしてほしい』という生形さんの思いから、本番と同じ場所でしっかりといい走りができるように今回準備してもらった舞台でした」と渥美は説明した。

渥美心(S-PULSE DREAM RACING – ITEC)/2023全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 レース1

 マシンはほとんど鈴鹿8耐のセッティングのままだったというが、レース1では4台の集団のなかでバトルを制して8位でフィニッシュ。

「今までの全日本に比べたら良い位置を走れている感じでした。ペースが速かったですが、意外と前にいる人たちが詰まってきて、自分に余裕があり、ペースが落ちないことをわかっていたので前の3人がどんな走りをするのかなっていうのを後ろで見ていました。後半でみんなが垂れてきたところで、ラストラップにグループの先頭に出て8位でフィニッシュしました」

津田拓也を追いかける渥美心/2023全日本ロード第2戦鈴鹿2&4 レース2

 こう語る通り、集団のなかでレースを冷静に進めていた渥美に軍配が上がった。JSB1000でのシングルフィニッシュはこのレースが初で、レース2ではさらに前に出て同じスズキのマシンを駆る津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)に着いていった。

「集団に引っかからなければ、もう1個前の集団で走れることがわかっていました。レース2はスタートがうまく決まって、津田選手の後ろつけてペースを上げていきました」

「そのときにようやく2分06秒台に入って、津田選手に追いついたり離されたりという感じでした。最後に抜くプランでしたが、ちょっとしたテクニックの差が最後に効いてきちゃって、もうじりじり離されるという展開で7位になりました」

「昨日に比べたら内容は良かったと思いますが、あと津田選手を抜けばスズキ勢トップだったので悔しい気持ちはあります」

SSTクラス3位を獲得したOG MOTORSPORT BY SARAZIN/2022EWC第2戦スパ24時間

 EWCを経験してから、トレーニング、レースウイークの過ごし方の質を上げて、そしてレースでもさらに速さを見せている渥美。次戦はEWC第2戦スパ24時間耐久ロードレースだ。

「シーズンオフにかなりしっかりとトレーニングをしてきて、ル・マンでも体力的な余裕を感じました。今回限界の高い所に行ってもしっかりと走れることがわかったので、それを自信にスパまでしっかりとトレーニングを積んで頑張りたいと思います」

 もちろんスパ24時間での目標はSSTクラスの優勝だ。昨年は21年ぶりに行われたこのレースで事前情報のないなかで、強さを見せて3位表彰台を獲得している。今後もここ数年でレベルアップした渥美の活躍が見れることだろう。

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