インボイス 凍結無し、特例もなし 総理姿勢

 立憲民主党の原口一博衆議院議員(元総務大臣)が12日の衆院決算行政監視委員会で、13か月連続して実質賃金が下がっていることを踏まえ、政府が10月から実施する「インボイス制度」はさらに実質賃金を下げることになり、年金受給者の年金にも影響すると凍結を強く求めた。加えて特例措置も取るように求めた。

しかし岸田文雄総理は「インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なもの」と答弁。特例措置についても「インボイス制度では免税事業者と課税事業者が混在、個々の事業者によって影響が様々であることから措置を実施することは適切でない」と特例措置もとらない考えを示した。

 質問で原口氏は「消費増税の度に実質賃金はグーンと落ちる。付加価値に対する直接税が消費税だから。今回、インボイスを10月に行う。10月からもっともっと実質賃金が下がる」と指摘。

 原口氏は「(インボイス制度導入が)自分は年金生活者だから、サラリーマンとか事業主のことだと思ったら大間違い。年金はまさに物価と賃金に変動する。賃金が下がっていけば年金も下がる。もっともっと縮む」と指摘し「インボイス凍結しませんか。特例措置の法律、今からでも上げませんか。協力しますよ」と総理に対応を求めた。

 岸田総理は「インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なもの。また独禁法に係る法的措置については消費税の導入、あるいは税率引き上げに際して、すべての事業者に一律の価格転嫁の必要性が生じることから、カルテルを作って価格を転嫁することを特別に容認したが、今般のインボイス制度では移行後も免税事業者と課税事業者が混在、個々の事業者によって影響が様々であることから、こうした措置を実施することは適切でない」と措置をとらない考えを述べた。

 インボイス制度を巡っては売上1000万円以下の免税事業者であっても、取引先が課税事業者であれば、「適格請求書発行事業者」に登録して課税事業者にならなければ取引停止のリスクがある。特に取引先が大手では課税事業者にならざるを得ない無言の圧があるよう。

 原口氏は「総理の論理は徴税する側の論理、払う側は価格転嫁しなきゃいけないのだから。インボイス持っていなければ『お付き合い止めます』ってやられるんですよ」と取引での実態を指摘した。(編集担当:森高龍二)

岸田文雄総理は「インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なもの」と答弁

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