県アライグマ防除実施計画 研修受講で捕獲可能に  重点地域の上越3市 5カ年で被害防止へ

 県と関係部局による本年度1回目の鳥獣被害対策本部会議が13日、県庁で開かれた。この中で6月1日に策定された「県アライグマ防除実施計画」について報告があり、重点防除地域の上越、妙高、糸魚川各市では研修を受講すれば誰でもわなでの捕獲を可能とするなど、今後5カ年で被害と分布拡大防止を図るとしている。

会議で披露されたアライグマ捕獲わな。上越3市には1台ずつ貸与され、研修受講者であれば利用可能となる

 アライグマはもともと国内にいない外来種で、平成17年に特定外来生物に指定された。 環境省による平成29年の調査では県内は侵入初期段階とされ、現在、離島を除く県内全域まで生息が拡大。性格は凶暴で繁殖力が強く、空き家にすみ着いて糞(ふん)尿による生活環境の悪化や病気の媒介、農作物の他、希少な生物の捕食など生態系への影響も懸念される。
 本計画は令和9年度末までの5カ年で、県全域が対象。生きた個体の保管や運搬が可能となり、鳥獣保護管理法の捕獲許可が不要、さらに狩猟免許がなくても講習会を受講すれば捕獲が可能になるなど、計画的でスムーズな防除が実施可能となる。
 被害や痕跡確認が多い上越3市では、県が捕獲者育成講座を実施し、申し込みがあれば各市に貸与したわなを貸し出す。また、環境省交付金を活用した防除も実施する。
 県鳥獣被害対策支援センターによると、講習会は7、8月以降に実施し、捕獲に適した来年春から実際に捕獲に移るという。渡部浩所長によると、上越3市ではすでに神社仏閣などで、アライグマらしき痕跡が確認されていて、「被害と思われるものを見つけたら、市町村や県に相談してほしい。早期に捕獲できる体制を構築していきたい」と呼び掛けた。

© 株式会社上越タイムス社