劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」井上麻里奈&早見沙織&佐倉綾音 インタビュー

井上「3人で歌うと決まった時、2人とも歌唱力が高いので“ああ、もう大丈夫だ!”と思ったんです」

早見「お互いに信頼関係があるんですよね」

佐倉「“特別なことは何もしなくても成立する3人になるのでは?”と」

90年代に少女達の心をつかみ、一世を風靡した「美少女戦士セーラームーン」は、作品生誕から30年以上を経てもなお、その人気は衰えを知らない。2014年には、より武内直子の原作の内容に沿った新作アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」シリーズがスタートし、21年にはその続編となる劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」が劇場公開。そしてついに、シリーズ最終章となる<シャドウ・ギャラクティカ>編がアニメ映画化され、前編が公開中、後編が6月30日に公開される。すべてを破壊し、宇宙をも支配しようともくろむ強大な敵に、エターナルセーラームーン/月野うさぎ(三石琴乃)が立ち向かう。窮地に立たされるエターナルセーラームーンの前に現れるのが、謎のセーラー戦士・セーラースターライツだ。井上麻里奈演じるセーラースターファイター/星野光、早見沙織演じるセーラースターメイカー/大気光、佐倉綾音演じるセーラースターヒーラー/夜天光。人気アイドルのスリーライツとしても活動する3人は果たして敵か味方か――。最終章を盛り上げる重要なキャラクターを演じる3人に話を聞いた。

――「美少女戦士セーラームーン」は、子どもの頃にご覧になっていましたか?

早見 「子どもの頃は、テレビアニメを見ていました。“ごっこ遊び” が幼稚園で流行っていて、私も遊びましたね」

井上 「何役だったんだっけ?」

早見 「私は背が高いから、まこちゃん(木野まこと)でした。“ごっこ遊び”のために、いつも髪をまこちゃんと同じポニーテールにして、緑の飾りがついたゴムで髪を結っていましたね」

井上 「髪形は大事だったね。ショートヘアの子は基本的に(水野)亜美ちゃんとか。役柄はだいたい身長と髪形で決まって、みんななかなか自分の好きなキャラクターはできない…」

早見 「もちろんまこちゃんも大好きだったけれど、私は亜美ちゃんや(愛野)美奈子ちゃん志望でした。でも、全然聞き入れられず(笑)」

佐倉 「私は、今回のお仕事で初めて「美少女戦士セーラームーン」に触れたんです。小さい頃はいとこがみんな男の子だったから、男の子向けのアニメばっかり見ていました。逆に、皆さんが幼少期にやったことを、今、怖いぐらいやりたくてしょうがない(笑)」

早見 「綾音ちゃんが今、“ごっこ遊び”でやるなら…」

井上 「最近は髪が長いけど、ショートヘアの時なら亜美ちゃんかな」

佐倉 「確かに、身長もちょうどいいかも。麻里奈さんが今やるなら、(火野)レイちゃんのイメージです」

早見 「レイちゃんか、美奈子ちゃんかな」

井上 「でも、子どもの頃はまこちゃんをずっとやってたよ」

早見 「まこちゃんっぽいのも分かります」

佐倉 「沙織さんは、(海王)みちるさんイメージ」

井上 「分かる!」

早見 「みちるさん、好きだったな~!」

佐倉 「とにかく、“ごっこ遊び”みたいなことを今、やりたくてしょうがなくって(笑)。なんかちょっと変な大人になっています」

井上&早見 「やりたいなら、付き合うよ!」

井上 「きっとコスプレをされる方は、そういう気持ちなんでしょうね。そのキャラに憧れてなりたいと思う…」

佐倉 「そういえば、フィギュアスケーターで、セーラームーンの格好で演技していた方(ロシアのエフゲニア・メドベージェワ)がいらっしゃった! ああいうことをやりたい…」

井上 「ああいうことをやりたい!?」

早見 「我々が同じようにやるなら、アフレコの時に衣装を着る…?」

佐倉 「ちょっと絵面が…(笑)。変身前の、アイドルのスリーライツだったらいいけれど」

早見 「変身後のセーラースターライツの衣装だとだいぶセクシーだからね」

井上 「でも、ぜひ皆さんにやってほしいですね。カッコいいと思います!」

――井上さん演じる星野光、早見さん演じる大気光、佐倉さん演じる夜天光。それぞれの印象は?

井上 「星野光はセーラースターライツのリーダー的な存在。リーダーシップがある一方で、繊細な面も持っている方なのかなと思いながら演じさせていただきました。思わず付いていきたくなる、非常にすてきな方です」

早見 「麻里奈さんのお声がついて、ますますカッコよくて…!」

井上 「(照れながら)ありがとうございます」

佐倉 「真面目さが声からもにじみ出ているんです」

早見 「ねっ! もう、真っすぐでカッコよくて」

井上 「たしかに真っすぐかもしれないですね。自分たちの目標や、守らなければならないものに対しては、一直線。非常に頼りがいがあるし、信頼ができる人という印象です」

早見 「大気光は冷静沈着で頭もよくてスマートで、それでいて優しい。カッコいい要素をすべて持ち合わせている、そんなキャラクターですね」

井上 「大気はめちゃめちゃ知的だよね」

佐倉 「うんうん」

早見 「頭が良くて、亜美ちゃんを抑えて1位になるぐらいなんです」

井上 「亜美ちゃんにあの表情をさせられるキャラクターですから。沙織自身が知的で冷静沈着なところがあるから、説得力が増している」

早見 「(照れながら)そんなことないです。ありがとうございます」

佐倉 「夜天光は、2人とはまた全然違うタイプ。ちょっとあざとくて、いつもひょうひょうとしていて、少し人を食ったようなものの見方をしています。弟系というか末っ子的なイメージのキャラ」

早見 「綾音ちゃんの公式コメントに『あわよくば「かわいい!」という黄色い声がもらえたら』って書いてあったのが印象的で」

井上 「キャスティングを見た瞬間、“綾音っぽいな~、分かる、分かる!”って思いました。ちょっと小悪魔的な要素もあるんですよね。私は綾音には甘えん坊な部分も感じているから」

佐倉 「気を許した人に対しての寄りかかり方はそうですね」

早見 「キュートなんです」

佐倉 「でも、夜天、結構ひどいこと言いますからね」

井上 「そうね(笑)。でも、綾音も毒舌な部分あるもんね」

佐倉 「そこは胸を張って言えます(笑)」

早見 「ストレートで素直なんだよね」

――セーラースターライツの3人は中性的なキャラクター。アイドルのスリーライツとしては女性をとりこにしています。演じるにあたって、男性的な部分、女性的な部分をどのように表現するか意識されたのでしょうか?

佐倉 「アフレコの最初に、『個性をばらけさせてください』と指示をいただきましたね」

早見 「それを聞いて、3人のバランスが大事なんだってすごく感じました」

佐倉 「意識したのが、アイドルのキャラ分け。彼らはセーラー戦士でありつつ、アイドルでもあり、人気を誇っています。“その人気の礎はどこだろう?”と考えていきました」

井上 「それぞれの“キャラクターらしさ”が出せるように意識はしながら、全力でカッコよくなればいいなと思って演じさせていただきました。自然に出る女性らしさを感じていただけた方が、3人のバランスも取れるんじゃないかと」

早見 「バランスについて、私は変身シーンで意識しました。変身シーンは3人のピースがハマってひとつになるので、その分、バランスが分かりやすく出るところなのかなと思ったんです。例えば、大気さんは変身シーンのセリフを熱量マックスでは言わないとか」

井上 「3人の中で、一番大人な雰囲気があるからね」

早見 「そうなんです。“大人で”、“余裕で”みたいなところがありますよね。静かに燃えるものを意識しました」

佐倉 「夜天の個性として大切にしていたのは、ちょこちょこ出る毒舌や、ちょっとはみ出た行動。失礼な行動は、しっかり相手に対して失礼になるようにする(笑)」

早見 「ちゃんと正しく失礼に(笑)!」

――アフレコでご一緒されて、改めてお互いに影響を受けたところはありますか?

井上 「改めてすごいというか…もう元々すごい2人なので」

早見 「本当にもう…!」

佐倉 「星野と大気のキャストが麻里奈さんと沙織さんとお聞きした時は、キャラクターの内面が、3人にぴったりでバランスが合っていると思いました。“特別なことは何もしなくても成立する3人になるのでは?”と。だから、“何を努力しようかな~”なんて考えていました(笑)」

井上 「現場では、私は星野をストレートに演じさせていただきました。スタッフさんからは、『セーラースターファイターはこうだから、他の2人はそれに合わせてキャラ分けする』というご指示もありました。そうしたら、次の瞬間には沙織と綾音が即対応して、ビシッとキャラにはめてきたんです。さすがだなと改めて感じましたね。なので、2人に甘えて好き放題やらせていただきました。大気と夜天の役が2人でよかったなと」

早見 「2人にアフレコ現場でお会いすると、安心感がすごくて。本当にありがたいです」

井上 「私も今日の取材は2人がいるから、気持ちが楽です。甘えていこうみたいな…」

早見 「お互いに支え合い、サポートし合っているんですよね。そこからいいバランスも生まれています」

井上 「それは、劇中歌の『流れ星へ』の収録でも感じました。3人で歌うと決まった時、2人とも歌唱力が高いので“ああ、もう大丈夫だ!”と思ったんです。私がどんなに好きに歌ったとしても、後で2人の声が重なるから」

佐倉 「歌は別々の収録で、麻里奈さんが最初だったんです」

早見 「私たちが歌う時には、指針ができていたよね」

佐倉 「“柱”ができていたから、こっちはこっちで気楽だったんです。こう話していると、なんかみんな無責任ですけど(笑)」

早見 「お互いに信頼関係があるんですよね」

――皆さんがもしスリーライツのように男装をして、しかも学生生活を送るとしたら、やってみたいことはありますか?

佐倉 「なんてキラキラした質問!」

井上 「そのシチュエーション、めちゃめちゃ憧れます。学生時代から何度妄想したことか! 男子校に男装で入学して…。そういうストーリーの少女漫画が大好きだったから」

佐倉 「分かります! そういう少女漫画、いっぱい読んでいたなあ」

井上 「そう、たくさん作品があるからね! でも、何をするんだろうね。プールには入れないし」

早見 「プールに入れないドキドキイベントもあるかもしれない」

井上 「それと、寮生活がしたい!」

佐倉 「私は、小さい頃の一人称が『僕』。中学校に入るまではスカートも履いたことがなくて、男の子のつもりで生きていたんです。しかも、男の子と間違えられるのを期待してやっていたから、ある意味で男装生活をもうやっているのかも」

早見 「入学するのは、男子校ってことですよね?」

――共学でも大丈夫です!

井上 「そうすると、どういう事情で男装して入学するんだろう…。裏設定を考えたくなるよね」

早見 「共学に男装して入学して、男の子として女の子に接してもらっている…。そのシチュエーションは、どこで種明かしをするかドキドキしますよね。バレるかバレないか。着替えのときに、『何、この布?』ってさらしが見つかるとか。さらし、絶対巻いてるじゃないですか! それを、『包帯だよ』ってごまかす。そういうのをやりたいです」

佐倉 「さらしについて聞かれるのは、男の子から?」

早見 「女の子から。落ちているのが見つかって…」

佐倉 「そこで恋愛が始まるかもしれない!」

井上 「女の子に告白されるっていいね。共学バージョンは考えたことがなかったなあ。男装して男子校に入って、ミスコンに出るところまでは考えたんだけど」

早見 「妄想が広がりますよね」

【プロフィール】

井上麻里奈(いのうえ まりな)

1月20日、東京都生まれ。AB型。アニメ「逃走中 グレートミッション」(フジテレビほか)に出演中。「news zero」(日本テレビ系)の木~金にはナレーターを務めている。主演アニメ「聖剣学院の魔剣使い」が放送予定。

早見沙織(はやみ さおり)

5月29日、東京都生まれ。7月3日スタートのアニメ「政宗くんのリベンジR」、7月7日スタートの「スプリガン」(ともにTOKYO MXほか)などに出演。主演映画「駒田蒸留所へようこそ」が11月公開。3rdアルバム「白と花束」が発売中。

佐倉綾音(さくら あやね)

1月29日、東京都生まれ。B型。アニメ「僕のヒーローアカデミア」(16~23年)、「『進撃の巨人』The Final Season」(20~23年)に出演。映画「ブラッククローバー 魔法帝の剣」が6月16日公開。

【作品情報】

劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」
《前編》全国公開中、《後編》6月30日全国ロードショー

「美少女戦士セーラームーン」のシリーズ最終章“シャドウ・ギャラクティカ編”を映画化。新たな敵に立ち向かうエターナルセーラームーン/月野うさぎ(三石)の前、セーラースターファイター/星野光(井上)、セーラースターメイカー/大気光(早見)、セーラースターヒーラー/夜天光(佐倉)らセーラースターライツ/スリーライツが現れる。

【プレゼント】

サイン入り生写真を1名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:6月14日正午~6月21日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」6月23日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html

取材・文/仲川僚子 撮影/藤木裕之
ヘアメイク/MAKI(TOKYO LOGIC)[井上]、樋笠加奈子[早見]、尾関真衣(addmix B.G co.,ltd.)[佐倉]
スタイリング/ナミキアキ[井上]、桶田圭織[早見]

衣装協力/daichïogata、Uttrykk(ユートリーク)、nanagu(ナナグ)、AGU(アグ)、NOMG(ノムグ)、DUE DONNE(ドゥエドンネ)、MASANA(マサナ)[早見]

© 株式会社東京ニュース通信社