<レスリング>U17アジア選手権(キルギス)出場の男子グレコローマン・チームが帰国

 

 キルギス・ビシュケクで行われた2023年U17アジア選手権に出場した男子グレコローマン・チームが6月13日、羽田空港に帰国した。優勝はなかったものの、銅メダル5個を獲得。メダル数ではこれまでで最多の成績を残した。

 小柴健二コーチ(佐賀・鳥栖工高教)は「去年は銅メダル1個で、厳しい闘いを覚悟していた」とのことだが、初日で銅メダル5個を取ってくれてチームの底力を感じたもよう。優勝はなくとも、全階級まんべんなく力をつけている結果であり、この世代のグレコローマンのすそ野の広がりを感じたようだ。

 今回のチームの半数はグレコローマンを中心に練習している選手とのこと。「グレコローマンを日々練習することが大事だと思います」と言う。ただ、優勝するには「まだ技術で劣っています」と話し、さらなる技術習得を求めた。

▲銅メダル獲得選手。左から45kg級・山口寛汰、48kg級・坂本広、51kg級・錦戸蓮、55kg級・中島拓摩、60kg級・八隅士和

 7月末にはトルコでU17世界選手権がある。昨年はメダルなしに終わったが、今回の上げ潮ムードをつなげたいところ。そのためには「研究が必要」と言う。今大会で初めて見た形のリフト技もあったそうで、U17欧州選手権などの動画をしっかり研究し、強豪選手の技を“未知の技”にしないことを望んだ。

 柴田慎吾コーチ(宮崎・宮崎工高教)は「初日に軽量級からメダルを取ってくれ、いい流れをつくれた。接戦を勝ち切った試合もあってムードがよく、好成績につながった」と、チーム一丸となっての銅メダル5個と総括。銅と金の差は「グラウンドのデフェンスの差でしょうか」と分析し、今後の強化を求めた。


銅メダル獲得選手の声

 ■45kg級・山口寛汰(静岡・焼津リトルファイターズ)「うれしい半面、悔しくもあります。初戦は最後まであきらめず、最後の6秒で逆転できてうれしかったです。準決勝のイラン戦はミスが多かった。世界で通じる手ごたえらしきものは感じました。グラウンドの守りと、あきらめないことを徹底して練習したい」

 ■48kg級・坂本広(東京・自由ヶ丘学園高)「うれしいですけど、インド選手に5-0から逆転負けしたのが悔しい。詰めの甘さでした。気持ちを切り替えて3位決定戦を勝てたのはうれしいです。来年もU17世代なので、来年は世界選手権に出場して優勝したい」

 ■51kg級・錦戸蓮太(熊本・小川工高)「銅メダルは素直にうれしいですが、準決勝のキルギス戦では自分の持っている力を出せず、グラウンドの甘さが出て負けてしまったことは悔しい。今回の反省を生かして練習を重ね、全国高校生グレコローマン選手権と国体でしっかり優勝したいと思います」

 ■55kg級・中島拓摩(佐賀・鳥栖工高)「うれしさもありますが、悔しさも残る大会でした。負けたイラン戦は、グラウンドを守れなかったことと、相手のデフェンスの強さなどが敗因でした。スタンドでは互角にやりあえたのは自信になり、3位決定戦は強豪相手にパッシブ勝負で勝つことができました」

 ■60kg級・八隅士和(東京・自由ヶ丘学園高)「うれしい気持ちもありますが、悔しい気持ちもあります。負けたキルギス戦は、互角近くには闘えたかな、という気持ちです。グラウンドの守りに差がありました。気持ちが折れずに3位決定戦に勝てたのは、メダルへの執念だと思います。去年が5位だったので、確実に前進している感覚はあります」

 

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