同窓会で縁結び 輪島市、経費を助成

  ●25~35歳―結婚後の定住見据え

  ●55歳―旧交温めUターンを促進 

 「同窓生に生涯のパートナーがいるかもしれません」。人口流出に悩む輪島市は、若者の出会いの場づくりを応援しようと、市内の中学、高校を卒業した人たちの同窓会経費を助成する方針を決めた。25~35歳の結婚、Uターン、定住につなげる狙いで、石川県内では珍しい取り組みとなる。定年を控える55歳も対象とし、旧交を温めながらふるさとの魅力を再発見してもらい、Uターンを増やす。

 13日発表した6月補正予算案に「わじま同窓会応援事業」として110万円を計上した。

 対象は、同窓生10人以上が参加する市内の中学校、高校の同窓会で、市外在住者の出席割合が3割以上のケースとなる。1人当たり2千円を補助し、上限は10万円。ふるさと納税や移住などの情報発信に協力することも条件となる。

 輪島市によると、2022年度の市の人口は約2万3千人で10年前に比べて7千人減少した。市は地元で開く同窓会を若い世代の縁結びのきっかけと位置付け、少子化対策にもつなげる。

 市はコロナ禍前までの約20年間、市出身者や市内在住者で55歳を迎えた男女が旧交を温める「セカンドメモリアルGOGO」を毎年開催してきた。定年後のセカンドキャリアを見据えた熟年世代のUターンを促す企画で、コロナによる中断から再開を機に内容をリニューアルした。

  ●市長、自らの経験振り返り

 「都会に出ると田舎の生活のことや、自分の人生はこのままでいいのだろうかと考えるものだ」。補正予算発表で坂口茂市長は、県外の大学を卒業後、金沢の民間会社で2年間の勤務を経て地元市役所に入った経験を振り返り、事業の狙いを説明した。

 いしかわ結婚・子育て支援財団の担当者は「年齢や育った環境、幼いころの経験など、多くを共感し合える同級生には好感を抱きやすい」と述べ、出会いの環境づくりを評価。

 いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)の担当者も「コロナの影響で会えなかった同級生も多く、いい着眼点だと思う」と話した。

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