真庭市教委「宮山城」を市重要文化財(史跡)に指定したと発表

真庭市教委は4日、同市の高屋・上市瀬の深山上に築かれた「宮山城」を市重要文化財(史跡)に指定したと発表した。
標高526㍍の深山の尾根の先端に築かれた中世の山城で、城跡のうちの主要部分約1820平方㍍の範囲を指定。毛利氏と敵対する岡山城主・宇喜多直家によって美作西部の主要城郭の一つとして整備され、現在も城郭の遺構がそのままの状態で残っている。
城域は大きく保存状態も良い。尾根にそって階段状に曲輪が造成され、土塁と堅掘を連続的に組み合わせた「畝状空掘群」が南側(落合方面)の斜面に均等な幅で築かれているのが特徴。敵の侵入を制限して攻撃ができ、少人数でも城が守れる構造となっている。
江戸時代に書かれた地誌「作陽誌」には、宇喜多氏の家臣の市三郎兵衛と小瀬中務正が築城とある。
1579(天正7)年9月、宇喜多氏が毛利氏との戦に向け、同城の築城を進めた。それに対し、毛利氏は近隣に攻撃拠点として複数の城を築き、両者のあいだで、攻防が繰り広げられた。しかし、岩屋城(津山市中北上)などの近隣諸城が落城したため、城兵は直家の命により退去し、1584(天正12)年に再び宇喜多氏の手に戻るまで毛利氏が所有した。その後、市三郎兵衛が城主となったことは確認できるが、以降の詳細は不明。1589(天正17)年に領内の城破りによって放棄された可能性が考えられる。
地元の保存会の「宮山城跡を守る会」が熱心に活動していることから、同市の歴史を伝える重要な場所として判断し、決定した。これにより同市の指定文化財は204件になった。

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宮山城がある深山=真庭市高屋・上市瀬

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