県内梅雨入り、食中毒に注意 コロナ明けで会食機会増、食品取り扱い注意

 梅雨入りし、気温も上昇している中、食中毒が懸念されている。6~8月は、細菌による食中毒が発生しやすい時期とされる。県内では昨年、集団での発生はなかったが、新型コロナウイルス禍が明け、集まって飲食する機会も増えることが予想され、リスクは高まる傾向にある。

 県食品安全衛生課によると、腸管出血性大腸菌による食中毒は5月以降、暑さが増すと多くなる傾向にある。他にも鶏肉などの加熱不十分で引き起こされる細菌のカンピロバクター、季節に関係なく、幼虫が寄生している魚介類を生で食べることで起きるアニサキスなどにも注意が必要だ。県内で2022年に確認された13件(患者数17人)のうち、10件10人を占めるアニサキスは激痛も伴い、深刻だ。

 寄生しているアニサキスの幼虫は、口から入った後、胃の粘膜や腸壁に刺さる。食後数時間から十数時間後に、みぞおちの激痛や嘔吐(おうと)などの症状が現れる。担当者は「防ぐには加熱や冷凍処理が必要。しょうゆやわさびを付けたり、酢で締めたりしても死滅しない」と強調する。

 全般的な食中毒の予防策として、同課は食品に菌を付けないため、生の肉や魚、卵などの食材を扱う前後は手を洗うこと、まな板なども清潔に保つことの重要性を指摘する。また、菌を増やさないため、低温で保存することも強調。ただ、冷蔵庫を過信せず、早めに食べ、細菌やウイルスを死滅させるため、十分加熱することも決め手だ。

 コロナ禍が明け、大人数に飲食を提供する機会が増え、控えていた会合も再開することが見込まれる。同課は「食品の取り扱いはこれまで以上に十分注意してほしい」と呼びかけている。

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