51歳ハリントンが驚異のキャリー300yd そのコツは…“手打ち”?

練習場でひたすらドライバーを打つ(撮影/服部謙二郎)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 事前(13日)◇ロサンゼルスCC(カリフォルニア州)◇7423yd(パー70)

シニア年代のプロの間で、もちきりとなっている話がある。それは、パドレイグ・ハリントン(アイルランド)がめちゃくちゃ飛んでいるということだ。

初めにその話をしていたのは、昨年の「全米シニアオープン」でハリントンと一緒に回った塚田好宣。なんでも「300ydのバンカーをキャリーで越えていた」と言うのだ。キャリー300ydといえば、PGAツアーでも飛ぶ方になる(PGAツアーの平均飛距離がトータルで298.7yd)。さらに今年の全米シニアオープンでも、飛ばし屋の宮本勝昌が「ハリントンにドライバーで30yd離された」と言っていたのを思い出す。

フィニッシュがだいぶサイドベンド強め(撮影/服部謙二郎)

昨年の全米シニアオープン優勝の資格で今大会に出場するハリントンがロサンゼルスCCの練習場で球を打っていたので、飛ばしの真偽を確かめるべく、使用していたトラックマンの画面をチェックしてみた。確かに、その中弾道のフェードボールが300yd先に着弾していた。左ひざにサポーターを巻いてはいるものの、51歳とは思えないスピード感でクラブを振りちぎっている。いったいどこにそんなパワーがあるのか?練習のお邪魔をして飛ばしの秘訣を聞いてみると、驚きの答えが。

「手や腕を使うんだよ」

ゴルフのレッスンでは、さんざん「手を使うな、体で打て」といわれているが、「手を使え」とはどういうことか?

「ひとつ覚えておいて欲しいのは、僕みたいな年寄りやアマチュアは腕を使った方が絶対いい。若い子たち(プロ)はみんな体の動きでスピードが作れて腕をそれに間に合わせて動かせるけど、同じような打ち方だと僕ら年寄りは腕がインパクトで間に合わなくなるんだ。腕の動きを主体にして体がついてくるような打ち方にしないと。年を取るにつれて少しずつ手を使うようにシフトしてきたんだ」

ハリントンのスイング(左からトップ、インパクト、フォロースルー)(撮影/服部謙二郎)

さらに付けくわえる。「とにかく自分が『速く振れる』ってイメージすることがすごく大事なんだ。『振れる』と思わない人は、いつまで経っても速く振れないからね。僕はいつも速く振る練習をしているよ」と言って、そのあとドライバーを100球近く打ち続けていたハリントン。シニア界で追随を許さないその飛距離。今週、若い選手たちに囲まれた中で、大暴れの予感たっぷりだ。(カリフォルニア州ロサンゼルス/服部謙二郎)

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