命つなぐ純白の泡、夜の神戸・六甲に 絶滅危ぶまれるモリアオガエル、産卵シーズン

深夜の静かな森に現れたモリアオガエルの卵塊。メスの元に数匹のオスが集まって作り出す=神戸市北区

 主に樹上に生息する希少なカエル「モリアオガエル」が、神戸・六甲山系などで産卵の時期を迎えている。樹上で出合ったメスとオスが、メレンゲ状の卵塊を生み出していく。

 日本固有種で本州各地に分布する。産卵に適した水辺の環境が減っており、兵庫県版レッドリストでは絶滅の危険が増大しているBランクに指定されている。

 六甲山系では夜、メスを待つオスが池の周囲に集まり、「コロロ」と鳴き声を響かせる。背中にオスを乗せたメスが向かうのは水の上に伸びた枝。産卵時にメスが出す粘液をオスが脚でかき混ぜると、純白の泡がみるみる膨らんだ。

 六甲山系に面した西宮市立山口中学校(同市山口町)では半世紀にわたり、生徒らによる保護活動などが続けられている。釜渕章匡教諭(47)によると、1週間ほどすると泡の中でふ化したオタマジャクシが水面に落ち、成長するという。(小林良多)

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