犬猫殺処分、初のゼロ 昨年度、県と金沢市

  ●譲渡の意識、広く定着 愛護センター来春開設

 県内で殺処分された犬、猫の数が昨年度、初めてゼロになったことが県と金沢市のまとめで分かった。保健所などに収容されても、自治体や民間ボランティアが新たな飼い主を探して譲渡する流れが定着してきたためとみられる。県は来年春に県森林公園(津幡町)内にオープンする「いしかわ動物愛護センター」を通じて譲渡をさらに後押しし、人と動物がともに安心して暮らせる社会の実現を目指す。

 県と金沢市によると、犬と猫の殺処分数は約20年前には年間2千件超で推移していた。その後、野良犬や野良猫の減少、譲渡の定着などにより13年度には825件、16年度は321件と減り、18年度には67件と初めて100件を下回った。

 「ペットも家族の一員」という認識が広く社会に浸透してきたことを受け、県は20年4月に「県動物の愛護および管理に関する条例」を施行し、動物との共生社会を目指すとした。

 殺処分を減らすため、県南部小動物管理指導センター(小松市)や保健所で収容した動物の譲渡情報をホームページに掲載している。年齢や性格などの特徴を写真付きで紹介し、引き取り希望者とつなげている。

 収容動物と触れ合える譲渡会も定期的に開催しており、17日に南加賀保健福祉センター(同市)で開く猫の譲渡会はすでに応募を締め切った。金沢市では昨年度に収容した犬と猫計57匹のうち、64%に当たる37匹が新たな飼い主の元に渡った。

 新設されるいしかわ動物愛護センターには、保護猫が自然に遊ぶ様子を観察することができる部屋を設けるほか、犬用のトリミング室も用意し、譲渡を推進する。収容動物を所管する県薬事衛生課の担当者は「さまざまな取り組みで収容動物を新たな飼い主とつなげ、殺処分ゼロを継続できるよう努めたい」と話した。

譲渡会に出された保護猫を眺める来場者=21年1月、金沢市内

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