鶴岡市街地近くにクマ 本紙記者目撃、あぜ道走り人家へ迫る

走り去るクマ=14日午前10時1分、鶴岡市安丹

 鶴岡市内の住宅地などで今月に入り、クマの出没、目撃が相次いでいる。14日早朝には市中心部に近い中野京田内で目撃され、鶴岡署に通報があった。本紙記者は現場で地元猟友会などが繰り広げたクマの追い払いを取材した。近くの愛宕神社に逃げ込んだクマを追い出すため打ち上げた花火の爆発音が複数回、響いた。飛び出したクマは田んぼのあぜ道を走り回り、大山川に逃げ込んで見えなくなった。

 地元住民から同日午前8時過ぎに情報提供を受け、現場に向かった。神社は鶴岡市役所から直線距離で北東に約3.8キロの位置にあり、集落の周囲に水田が広がる。神社の敷地は木が生い茂り、鶴岡署員や市職員が注意深く様子をうかがっていた。職員らが様子を見守る場所からさらに後方30メートルの位置でカメラを構えた。約10分後。「クマがいたぞ」との声が響いた。茂みの中で、その姿が見えた。緊張感が高まった。

 応援要請を受け、午前9時45分ごろ猟友会のメンバー4人が到着した。住宅地がある神社南側から花火を打ち上げ、田んぼが広がる北側に追い払う作戦を試みた。破裂音が響くと、茂みがガサガサと揺れ、黒い影が飛び出した。人がいない北側のあぜ道を駆け抜け、人家近くまで迫る。行く手を阻むかのようにパトカーが近づくと、向きを変え、近くの千安川の河川敷に下り、見えなくなった。市、猟友会は住宅地からクマが離れたとし、捕獲、駆除体制を解除した。

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 市内では今月5日深夜にJR鶴岡駅近くで、11日未明から朝と深夜には住宅街の美原町でクマの目撃が相次いでいる。市によると、主に南側の金峯山や、西側の高館山などから川を伝ってくるとみられるという。中野京田で見つかったクマは川から平野部に点在する林を経由してきたと考えられる。市農山漁村振興課は目撃情報があった場合、朝と夕に広報車で巡回し、戸締まりの確認など注意を呼びかけている。

走り去るクマ=14日午前10時1分、鶴岡市安丹

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