やまがた紅王、出荷着々 本県期待のサクランボ新品種

出荷が本格化している「やまがた紅王」=天童市

 20年余りかけて開発したサクランボの大玉新品種「やまがた紅王」が本格デビューし、県内各産地で出荷作業が本格化している。今後、認知度向上や市場評価の早期獲得を目指す。今月17日には、寒河江市の最上川ふるさと総合公園で記念イベントを開き、デビューの周知と消費拡大を図る。収穫盛期は18~23日ごろを見込んでいる。

 「やまがた紅王」の開発は1997年、県園芸試験場(寒河江市、現県園芸農業研究所)で始まった。大玉で品質が良い「紅秀峰」と、レーニアと紅さやかの交雑種を掛け合わせ、70本の苗木から育成した。

 500円玉より大きく、鮮やかな紅色が特長。厳しい出荷基準を設け、2L(直径25ミリ)以上、着色割合50%以上でないと「やまがた紅王」として販売しない。最上級規格は「やまがた紅王 プレミアム」として首都圏の高級果実専門店などに売り込む。

 サクランボは短期間に作業が集中する。特に県内栽培面積の7割を占める主力品種「佐藤錦」の収穫がピークを迎える今の時期は生産者の負担が大きい。県は「やまがた紅王」への切り替えを進めることで労働の分散を図り、7月上旬の「紅秀峰」まで切れ目のないリレー出荷で生産者の収益増につなげたい考えだ。

 昨年の出荷量は約5トンで、1キロ当たりの平均単価は8299円だった。販売単価は100グラムパックで2千~5400円となった。今季の出荷量は20トン程度の見込み。

 17日の記念イベントでは、吉村美栄子知事をはじめ、生産者や消費者、「やまがた紅王」の開発者によるトークショーを行い、新品種の魅力を語り合う。先着100人に紅王をプレゼントする。同総合公園ではこの日、流しサクランボなど各種イベントも開かれる。

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