<無人コンバイン始動> 米麦収穫、精度は熟練者並み クボタが業界初

無人自動運転で小麦を刈り取るコンバイン(14日、千葉県柏市で)

農機大手のクボタ(大阪市)は14日、業界初となる無人で稼働するコンバインを発表した。倒伏している箇所では速度を落としてしっかり刈る、あぜの高さを認識してあぜ間際まで刈るなど、熟練者並みの精度を実現しているという。来年1月の発売を予定する。

名称は「アグリロボコンバインDRH1200A―A」。汎用(はんよう)型で、米や麦の収穫に使える。まずコンバインに乗って外周を1周刈り、農地の範囲を設定する。その後は降りて、リモコンで作業開始の指示を出すと、残りの部分を無人で刈り取る。穀物の排出時には、指定した場所に移動する。走行には人工衛星からの位置情報も活用する。作業者は監視する必要がある。

安全性も重視した。人工知能(AI)を活用し、作物の中に紛れている人も検知できるようにした。5メートル以内に人が近づくと走行を停止する。同社は「誰でも簡単に、楽に、上手に、安心して作業できる」とする。

使用環境の目安は、1枚の面積が1ヘクタール以上としている。価格は2203万7400円から。年間50台ほどの販売を目指す。同社はこれで、トラクター、田植え機、コンバインの農機主要3機種の全てで無人機をそろえた。

同日に千葉県柏市で開いた実演会には、農家や行政など100人以上が参加。農地を提供した、柏染谷農場の染谷茂さん(73)は「農家が減る中で農地を維持していくには、誰でも高精度な作業ができる農機が必要だ」と話していた。

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