顧客訪問中に怪しい電話、震える手を見て電話切らせる 置き薬会社社員に感謝状 コンビニ店員2人も 兵庫・南但馬署

深木孝夫署長(右端)から感謝状を贈られた(右から)関茉佑さん、太田志寿奈さん、長山裕司さん=南但馬署

 特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、兵庫県警南但馬署は13日、コンビニ店員と置き薬会社の担当社員の計3人にそれぞれ署長感謝状を贈った。3人は4、5月にそれぞれの店舗や顧客の自宅で高齢者が詐欺事件に巻き込まれていることに気付き、声かけや通報で被害を阻止した。(小日向務)

 姫路市の置き薬会社で働く長山裕司さん(64)=同市=は但馬地域の担当。4月29日に朝来市で顧客の70代女性宅を訪れると、ちょうど電話中で「金を振り込んだら本当に返金されるのですか」などと話していた。女性は相手に詰め寄られているようで手も震えており、途中で電話を切らせた。女性に事情を聴くと、「サイト使用料が未納」として振り込みを求められていたという。長山さんは「ほっとしている。お役に立てて良かった」と笑顔だった。

 ローソン和田山下田店の社員、関茉佑さん(27)=朝来市=は4月20日、70代男性に応対した。男性は「高額当選した」と告げるメールを見せ、「交換のためポイントを購入する」という。「詐欺ではないか」と忠告したが、聞いてもらえず、「この店では対応できない」と告げ、男性が店を出た後に110番。同署員がほかの店で男性を見つけて説得した。関さんは「お年寄りが多い地域。これからも気をつけたい」と話す。

 一方、ローソン和田山土田店に5月2日、別の70代男性が来店。応対した同店社員の太田志寿奈さん(37)=同市=から電子マネーを購入しようとした。太田さんはかねて同僚と「購入者には目的を聞こう」と話し合っており、男性に聞くと「パソコンが(作動しなくなって)固まった。解除に必要」と説明。スマートフォンをつないだまま来店しており、詐欺であることを説明、購入をやめさせた。

 南但馬署の深木孝夫署長は「それぞれケースは異なるが、被害を防止してもらった。引き続き協力をお願いしたい」と感謝していた。

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