書写山円教寺の四天王像、90年ぶりに大講堂へ移動 国重要文化財、7月1日から特別公開

90年ぶりに四天王像を移動させるための法要が営まれた=15日午前、書写山円教寺の摩尼殿(撮影・辰巳直之)

 兵庫県姫路市の書写山円教寺で15日朝、摩尼殿にある国重要文化財の四天王像を、90年ぶりに元あった大講堂に戻す作業が始まった。初日は摩尼殿で法要を営んだ後、木像4体を丁寧に包んでトラックに載せ、約300メートル離れた大講堂に運び込んだ。16日に安置して作業を終え、7月1日から特別公開する。

 四天王像は東方を守る持国天、西方の広目天、南方の増長天、北方の多聞天。それぞれ高さは約1.3メートル、重さ100キロ程度。

 4体は987年の大講堂完成から千年近く、本尊の釈迦三尊像(国重文)とともに置かれていた。1921(大正10)年の摩尼殿火災で、別の四天王像が建物もろとも焼失。摩尼殿は12年後に再建されたが四天王像は作られず、翌34年に大講堂の四天王像を摩尼殿に移したままになっていた。

 今回、兵庫県とJRグループなどが7~9月に展開する大型観光事業「兵庫デスティネーションキャンペーン(DC)」や住職の代替わりに合わせ、大講堂に戻すことになった。

 大講堂での特別公開は9月30日まで。90年ぶりに「再会」した釈迦三尊像と四天王像を鑑賞できる。摩尼殿では同じ期間、奥秘仏の如意輪観音像も特別公開される。拝観料はそれぞれ500円で、入山志納金(中学生以上500円、小学生300円)が別途必要。同寺TEL079.266.3327 (上杉順子)

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