「火祭り」の大たいまつ作り 世界遺産・熊野那智大社の例大祭に向け

「那智の扇祭り」に向け、大たいまつの製作を進める嶌﨑和真さん(14日、那智勝浦町で)

 和歌山県那智勝浦町那智山の世界遺産・熊野那智大社(男成洋三宮司)で、7月14日に営まれる例大祭「那智の扇祭り」(重要無形民俗文化財)が1カ月後に迫る中、大たいまつの製作が進んでいる。

 熊野那智大社によると、扇祭りは神々が年に1度、もともと祭られていた那智の滝のそばに里帰りをし、神威を新たにするという神事。神々が那智の滝の姿を表しているという12体の扇みこしに乗って渡御し、氏子らが大たいまつを担いで火の粉を散らし、参道を炎で清める。その様子から「那智の火祭」の通称でも知られている。

 大たいまつは、宮大工の嶌﨑和真さん(41)が中心となって4月から製作している。細長く加工したヒノキを円筒状に束ねるなどして作っており、長さは約1.4メートルで、重いものは50キロほどある。7月9日までに12本を仕上げる予定。

 嶌﨑さんは「今年の例大祭は例年通り営まれる予定で、たくさんの方が見に来られると思う。皆さんの心に明かりをともすことができるよう頑張って作りたい」と話している。

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