盲腸と偽り不妊手術、最年少9歳 同意なし65%、旧優生報告判明

1日、旧優生保護法下の強制不妊手術を巡る訴訟の控訴審判決で、仙台高裁に向かう原告団

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、衆参両院がまとめた調査報告書原案の全文が15日、関係者への取材で判明した。「本人同意なし」のケースが手術全体の65%を占めた。盲腸など別の手術と偽って受けさせたり、必要な審査会を開催せずに書類のみで実施を決めたりするなど、ずさんな実態が浮かんだ。

 最年少は9歳。児童施設による集団申請のほか、福祉施設の入所条件とされた事例もあった。旧法が禁じた放射線照射や子宮摘出も報告された。

 調査は立法過程や被害の実態把握が目的で、国や自治体、医療機関、福祉施設の保管資料などを分析。19日に両院議長に報告後、公表する。

 原案によると、旧法に基づき全国で実施された手術は計2万4993件で、このうち本人同意なしは1万6475件。

 最年少は昭和30年代後半の男児、昭和40年代後半の女児でいずれも9歳。手術の理由や背景は不明だった。

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