肝機能ALT30超えたら受診を 学会が新指標、コロナ禍で増加

 日本肝臓学会は15日、血液検査の項目のうち肝機能を調べるALT(GPT)値が30を超えた場合をかかりつけ医へ受診を促す新たな指標に定めたと発表した。新型コロナ禍で脂肪肝やアルコール性肝障害になる人が増えており、早期発見や治療につなげたい考え。これまで日本人間ドック学会などが、どこまでが正常かを示す基準値を示していたが、明確に受診を促す指標は初という。

 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状のないまま悪化するリスクがある。肝臓学会理事長の竹原徹郎大阪大教授は「肝臓病を見つける糸口になってほしい。健康診断で決して軽視しないで」と呼びかけた。

 ALTは肝臓などの細胞に多く含まれる酵素。障害が起こって細胞が壊れると数値が上がり、肝機能障害が起きている可能性を示す。

 同学会によると、最近は治療法の進歩によりウイルス性肝炎による死亡が減る一方、アルコール性の肝障害の死亡率は増加。コロナ禍の外出自粛などで非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も増加傾向にある。

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