流言認める文書、政府保管 関東大震災で朝鮮人巡り

 1923年9月の関東大震災での朝鮮人虐殺を巡り、政府は15日の参院法務委員会で、当時の内務省が朝鮮人に関する流言を事実とみなし、取り締まりを求めた公文書を保管していることを認めた。虐殺の発生に影響したとみられるが、責任については明言を避けた。社民党の福島瑞穂党首の質問に答えた。

 文書は防衛省防衛研究所が保管。警察を所管していた内務省警保局が震災直後の9月3日、全国の地方長官に宛てて打った電報で「(朝鮮人が)爆弾を所持し、石油を注ぎて放火するものあり」などと認定した上で「厳密なる取り締まりを加えられたし」と記載されている。これを根拠に国の責任を問う指摘が多い。

 防衛省幹部がこの日の法務委で公式に保管を認めた。福島氏は「虐殺のきっかけになった」と見解を求めたが、警察庁幹部は「事実関係を把握できる記録が見当たらない。お答えすることは困難だ」と述べた。

 この問題を巡っては谷公一国家公安委員長が5月23日の参院内閣委員会で「さらなる調査は考えていない」などと答弁していた。

© 一般社団法人共同通信社