オスカー受賞の米映画原作者が死去 89歳 

米作家コーマック・マッカーシーさんが死去した。89歳だった。ピューリッツァー賞を受賞し、小説『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』がコーエン兄弟により映画化されアカデミー賞に輝いていたマッカーシーさんが13日、ニューメキシコ州サンタフェの自宅で息を引き取ったことを出版社ペンギン・ランダム・ハウスからの声明を通して息子ジョン・マッカーシー氏が伝えた。

約60年に渡るキャリア通して12の小説を発表、2009年にアメリカン・フィクションへの貢献を称えられ、フィリップ・ロスに続いて史上2番目にPEN/ソール・べロー賞を受賞したマッカーシーさんは生前、自身の小説がしばしば暴力的な内容であることについて「命と死が関わっていなければ、興味がない」と語っていた。

弁護士を父に持つマッカーシーさんは、4歳の時にテネシー州に移り住んだ。チャールズという名前だったものの、アイルランドの王にちなんでコーマックと改名、大学を中退して執筆活動に専念した。最初の小説『果樹園の守り手』は、60年代マッカーシーさんがシカゴの車部品販売店で働いていた時に執筆したものだ。

ジョエルとイーサン・コーエンによるトミー・リー・ジョーンズ主演の『ノーカントリー』は、サディスティックな連続殺人魔を演じたハビエル・バルデムの助演男優賞を含むアカデミー賞4部門を受賞する成功を収めた。

2007年には、近未来の荒れ果てた大地を旅する父と息子の姿を描いた『ザ・ロード』でピューリッツァー賞を受賞、同作はその後ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化されている。

田舎を舞台にしていることや、殺伐としたバイオレンスが描かれていることから、しばしばウィルアム・フォークナーと比較された作品群が高く評価されていたマッカーシーさんは生前、ロックフェラー財団を含む多くのフェローシップを授与されていた。

(BANG Media International/よろず~ニュース)

© 株式会社神戸新聞社