アカミミガメ放流は処罰対象 6月から アメリカザリガニも

保護したアカミミガメを手にする荻野所長=岡山市のワニガメ生態研究所

 アカミミガメ(ミドリガメ)とアメリカザリガニが国の「特定外来生物」に指定され、川や池への放流が今月から処罰対象になった。岡山県内の関係機関には飼い主から「飼う自信がない」といった相談が昨年から寄せられるようになり、保護したケースもある。一方、指定を知らずに放流する人もいるとみて、環境省などが注意を呼びかけている。

 アカミミガメとアメリカザリガニは繁殖力が非常に強く、生態系への影響や農作物被害が懸念されることから特定外来生物に指定された。ペットとしての飼育はこれまで通りできる一方で、放流をはじめ、新たな個体の輸入や販売、ペットとしての購入は禁じられ、違反者には3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科される可能性がある。

 環境省中国四国地方環境事務所(岡山市北区下石井)によると、法改正に関する問い合わせが1月以降20件ほどあった。子どもが水辺で捕まえた場合の対応を尋ねる質問には、捕獲場所から離れると戻せなくなるため、不用意に持ち帰らないように家庭で伝えるよう求めたという。

 カメなどを保護・飼育する一般社団法人ワニガメ生態研究所(岡山市北区栢谷)には「寿命まで飼う自信がない」などとして4月末から5月上旬に広島、茨城県の飼い主から相談があり、2匹を引き取った。荻野要所長は「周知が進めば、同様の事例が増えるのでは」とする。

 同省は、ペットなどとして飼われているアカミミガメは160万匹、アメリカザリガニは540万匹と推定。飼育まで禁止すると放流が続出すると判断して、従来の特定外来生物に対する規制を一部除外し、家庭や学校で飼うことは認めた。野外で捕獲した個体をペットとして飼ったり、個人間で無償譲渡したりもできる。

 同事務所は今春から啓発ポスターを大型商業施設などに掲示。「迷いがあれば飼わない決断も大切。どうしても飼い続けられない場合は他人に譲るなど、決して野外に逃がさない対策を取ってほしい」としている。

 相談は環境省の専用ダイヤル(0570―013―110)。

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