有人島「転入超過」目標に設定 県離島振興計画10年ぶり見直し

 岡山県は県内の有人島の社会基盤整備や生活環境改善の指針となる「県離島振興計画」を10年ぶりに見直し、新たな計画(2023~32年度)を策定した。持続可能な島づくりを目指し、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」に反転させることを目標に設定。移住定住の促進や離島航路の維持・利便性向上を盛り込む一方、島々が直面する現実は厳しく、達成に向けては施策の実効性が問われそうだ。

 対象は日生諸島(備前市)前島(瀬戸内市)犬島(岡山市)石島(玉野市)児島諸島(倉敷市)笠岡諸島(笠岡市)の計14島。20年の国勢調査人口の合計は1553人で、10年の調査(2627人)から4割減った。65歳以上が70.6%を占め、県平均(30.7%)の2倍を超えている。

 新たな計画では、直近5年平均で計28人減となっている人口の社会動態を転入超過に転じさせることを政策目標として明記。実現するための重点施策には、豊かな自然環境や固有の文化・芸術といった地域資源を活用した交流人口の拡大と移住定住の推進▽振興の根幹を担う離島航路の維持・確保や利用者負担の軽減▽緊急時の医療体制整備―といった項目を盛り込んだ。

 他に、移住者を受け入れるための空き家の活用、島ならではの体験プランなどを楽しむ「島旅」の開発に取り組むことも掲げた。

 県の離島振興計画は、本土との格差是正を定めた離島振興法(1953年制定)に基づき策定。昨年11月の改正法の成立を受けて中身を大幅に見直した。

 県中山間・地域振興課は新型コロナウイルス禍を契機に価値観が多様化し、新たなライフスタイルを模索する動きも見られるとして「働き方の変化も相まって、都市部から離島に人を呼び込む好機。転入超過への反転は容易ではないが、関係市と連携を密にして振興につなげたい」としている。

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